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一度は失格の烙印を押されたが……。
森友哉は西武の正捕手になり得るか? 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2016/09/07 11:30

一度は失格の烙印を押されたが……。森友哉は西武の正捕手になり得るか?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

8月31日には捕手としてプレーし、9回裏には劇的なサヨナラ打を決めた森。正式捕手&大打者として、ファンの期待は大きい。

捕手として出場した試合も好調な打撃を維持。

 円グラフを思い浮かべ、守備と打撃、それぞれのパーセンテージを聞くと「そういう考え方では全くない」と一蹴した。

「守備と打撃、両方にひとつずつ円があってマックス、マックスのイメージです。確かにキャッチャーは負担が大きいと言われます。シーズン序盤は外野を守らせてもらうことが多くて、外野に比べれば考えることは多いです。疲労感も全く違います」

 ただし、そのために打撃に悪影響を及ぼす印象は本人も抱いていない。

 高校時代から常にマスクをかぶり、打席にも立ち、結果を出してきた。今シーズン途中、打撃不振から二軍に落ちた際には「キャッチャーの練習を取り入れたほうが下半身も強くなり、打撃にもいい影響が出る」と、秋元宏作二軍バッテリーコーチの勧めもあって、あえてキャッチャー用の守備練習を取り入れることもあった。捕手として出場した8月31日のソフトバンク戦では逆転サヨナラタイムリーのツーベースを放ち、チームの勝利に貢献している。森に関しては、捕手を続けることによるバッティングへの悪影響は、今のところ見当たらない。

このまま森を正捕手として育てていくのか?

 現在、西武ライオンズは成績不振の責任を取り、田邊徳雄監督が今シーズン限りで退任するのではないかという報道が増えている。チームが来季に目を向け始めたからというわけではないだろうが、森の捕手起用は着実に増え、左のエース、菊池雄星や今シーズン一軍初先発となった誠などともバッテリーを組み、スターティングメンバーに名前を連ねるようになった。

 イースタン・リーグで森がマスクをかぶる機会も多く見ている横田久則二軍監督は、自身の経験を踏まえてこう話した。

「僕がロッテにいたころ、里崎智也という打撃も守備も素晴らしいキャッチャーがいました。捕手としての才能も秀でていたけれど、それでも1年間は二軍でじっくりマスクをかぶった。一軍に上がってからも、投手の信頼を得るまで少なくとも2年はかかる。キャッチャーを育てるのには、やはり実戦経験と時間が必要です」

 たぐいまれな才能を持つ森という球界の宝を、どう育て、どう生かすのか。今後の球団の動きに引き続き注目したい。

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