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“引くアジア”に香川真司の本領を!
起点のパスとショートコーナーを見よ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2016/09/01 11:15
ドイツ杯1回戦で今季のクラブ公式戦初ゴールを決めた香川。UAE戦でも活躍を見せられるだろうか。
ブンデス単独トップの数字を示した「起点のパス」。
9月1日から始まるロシアW杯最終予選に向けても、こう話す。
「うまくいくことに越したことはないですけど、絶対に厳しい戦いが待っているので。そういう時にやはり、この前(の予選を)経験しているメンバーだったり、僕らがしっかり引っ張ってやっていきたいと思います」
これから始まる最終予選では、香川の経験とスキルは活きてくるはずだ。
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アジアでの戦いは日本が苦手としている、引いた相手との試合が想定される。そこで活きるような武器を彼は結果で証明している。『キッカー』誌はアシストの一つ前、いわゆるゴールの起点となったパスの集計もしているのだが、香川は12本も記録した。
これは、ブンデスリーガの全ての選手のなかで単独トップの数字だった。
確かに、昨シーズンの後半戦ではチームとして相手の特長を消す、やや守備的な戦いに終始していた。チームは失点数を減らすかわりに、ゴール数も減らしている。しかし、シーズン前半戦の、多少のリスクを負いながら、いかにして相手の守備を崩していくのかをテーマに戦っていたチームにあって、香川のアイデアと機転は大きな武器となり、その積み重ねが、リーグトップのデータとなって表れたわけだ。
ドルトムントで感じる“アジア攻略”との共通点。
ドルトムントで、引かれた相手の守備を崩して大勝した試合のあとに、自らこう話したこともあった。
「引かれた相手が多くなる中で、どうやって崩したらゴールが入るのかなというところでは似ていると思いますね。やっぱり相手の中(の守備)は固いので、(打開策は)サイドから(のプレー)が必要だと思う。そういう意味では通じるものを感じました」
もちろん、相手の守備を崩すために求められるのは流れのなかの攻撃からだけではない。
セットプレー、とりわけCKの際にもそうだ。昨シーズンからドルトムントはショートコーナーからの得点数を大きく増やすようになった。
「コーナーをあげたタイミングを含めて、ちょっとボールのタイミングが悪かったりしたら、逆に、ショートで崩そうとしたり。あとは、相手の中(の守備)が強かったりしたら、ちょっと変化を加えようと意識をしています」