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凶器、場外、コーナー禁止のプロレス。
佐藤光留が今も守るUWFの“遺伝子”。

posted2016/08/07 08:00

 
凶器、場外、コーナー禁止のプロレス。佐藤光留が今も守るUWFの“遺伝子”。<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

ヒールホールドで相手にダメージを負わせる佐藤。7月に36歳になった今もその意欲が衰えることはない。

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 パンクラスMISSION所属のプロレスラー・佐藤光留がプロデュースする『ハードヒット』は“UWF系”のプロレスイベントである。勝敗はKOもしくはギブアップで決し、ダウン、ロープエスケープでそれぞれロストポイント1。10分一本勝負は3ロストポイント、15分一本勝負の場合は5ロストポイントでTKO負けとなる。

 かつてプロレスファンを熱狂させたUWFの意義を“総合格闘技というスポーツの確立”だとするなら、その歴史的役割はすでに終わっている。第一次UWFの理論的支柱だった佐山聡は修斗を産み出し、リングス、UWFインターナショナル、パンクラスの“U系”団体はそれぞれの形でバーリ・トゥードと向き合った。そしてPRIDEが爆発的人気を獲得した時点で、UWFのファンが見た夢は現実のものになったと言っていいだろう。今、プロレスはプロレスとして、格闘技は格闘技としてはっきり区分けされた形で成立している。

鈴木みのるの弟子だからこその格闘技+プロレス。

 ただ、そういう時代でも、佐藤は“U”が必要だと考えた。それは「プロレスラーはレスリングができて当たり前、プロレスラーは強くて当たり前」だからだ。総合格闘技が確立された時代だからといって、プロレスから強さが必要ではなくなったというわけでは決してない。それが、パンクラスで鈴木みのるの弟子として、つまり格闘家であると同時にプロレスラーとして育てられた彼の譲れないプロレス観なのだ。

 2008年からDDTのリングに上がり、現在は全日本プロレスを主戦場にする佐藤。世界ジュニア、アジアタッグという“伝統のベルト”を保持してもいる。エンターテインメント性の強い試合も得意とするところだ。その一方でDEEP、シュートボクシング、パンクラスにも参戦。だから『ハードヒット』を“見せかけの総合”にするつもりはない。

 むしろその逆で、プロレスという枠の中でいかに格闘技術を表現するかが問われるのが『ハードヒット』だ。凶器攻撃や場外乱闘はもちろんない。トップコーナーに昇っての攻撃も反則となる。そういう窮屈な試合形式で何を見せるのか。そもそも、見せるに値するものを今のプロレスラーは持っているのか。

【次ページ】 インディーのレスラーが意外な武器で観客を驚かす。

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