リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
清武移籍セビージャで嵐の体制変更。
コパ優勝監督の就任で更に攻撃的に。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byAFLO
posted2016/07/20 11:30
清武弘嗣もまた、敏腕モンチが連れて来た選手の1人である。攻撃的なスタイルも彼の特徴は活きそうだ。
後任監督は、チリでコパ優勝を果たしたサンパオリ。
その後はエメリの退団決定。だが、それに伴う失望と新シーズンに対する不安は、改めてクラブに尽くすことになったモンチが、まもなく吹き飛ばしてくれた。
後任に、前チリ代表監督のアルゼンチン人ホルヘ・サンパオリを据えたのだ。
たったの2日でラツィオの監督を辞し話題になったマルセロ・ビエルサのスタイルを信奉する彼の特徴は、「極端に攻撃的」と形容されるサッカー。
期待は大きく膨らむけれど、ではもう少し具体的に、生まれ変わるセビージャは何を見せてくれるのだろうか。
新監督のために必要な選手をかき集めているモンチによると、サンパオリが基盤とするのはボールポゼッションだ。
「戦術に関して監督の頭にはいくつかアイデアがあるが、コンセプトはひとつだけ。ボールを保持し、失ったらすぐさまプレッシャーをかけ、試合の主導権を握るんだ」
「監督はボールの支配を望む。だから我々はボールの扱いに長けた選手を求めている。体力自慢の選手はいらない。我々の監督は守備にもボールを用いるからだ」
――リーガでは見覚え、聞き覚えのあるサッカー。史上最高とも称されたグアルディオラのバルサのスタイルに似通っている。
戦術アナリストは、グアルディオラの“追っかけ”。
グアルディオラもビエルサに一目置いていることを考えると何ら不思議はないのだが、サンパオリのスタッフに目をやると、この類似は必然だということがわかる。
アシスタントはかつてレアル・ソシエダなどを指揮したグアルディオラの師の1人フアンマ・リージョで、戦術アナリストはグアルディオラの“追っかけ”マティアス・マナ。2人はサンパオリがチリで成し遂げた'15年のコパ・アメリカ優勝のキーマンともされている。
面白いのはこのマナだ。
まだ現役だった頃のグアルディオラに惚れ込んだ彼は、'05年グアルディオラだけを取り上げるウェブサイトを立ち上げ、監督になってからはその戦術をサイト上で分析してきた。一方本人は'07年、24歳で当時の監督ビエルサのスタッフとしてチリ代表に関わり始め、'14年W杯後のプレイスタイル修正においては重要な役割を果たした。そしてこの夏グアルディオラ本人にマンチェスター・シティに誘われながらも、サンパオリのサポートを選びセビージャへやってきた。