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宮里藍の好調は「2g」の変化にあり。
「勝ちたい」からこその微調整。
posted2016/07/13 17:00
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
1月下旬のバハマ、宮里藍は片手にアイアン2本を持ち、キャディーのシーボーンと話しながらフェアウェイを歩いていた。近寄って行って新年の挨拶をすると、こちらを向いてニカッと笑ったが、またすぐに正面を見据えて練習ラウンドを続けた。
今年は『クラブセッティング』を大幅に変えたため、例年にもまして綿密にコースチェックを行っていた。
バハマ特有の島風に翻弄される選手が多い中、宮里もスコアを伸ばせず初戦を54位タイで終えた。だが、結果とは裏腹に本人は手応えを感じていた。
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「(ゴルフの)内容が今までと全く違う」
10年ぶりのアイアン変更で感覚がずれたが……。
アイアン自体を変更したのは「10年ぶり」と宮里は言う。
「あんまりクラブの変更は好きじゃないんですよ。私にとってアイアンやユーティリティーの距離感が生命線なので。1、2ヤードでも感覚が狂うと不安につながる」
155cmという小柄な宮里は、海外勢のパワーヒッターらと勝負するために、技術的な精度を高めることに長年磨きをかけてきた。
「では、もっとゲーム自体を進化させるには?」
ジュニア時代からクラブを担当するブリヂストンの中原と話し合った結果、昨年の秋から今オフにかけて『カーボンシャフト』のテストを重ねた。
シャフトをスチールからカーボンに。アイアン1本ずつにつき“25g”の軽量化である。
「グリーン上でボールが止まるし、弾道が上がるし、何よりも、こんなに楽に(クラブを)振れるものかと」
新たなクラブに確かな手応えを感じたはずなのに、2戦目以降、スイングのタイミングが合わなくなる。
「なんでだろう、なんでだろうと、ずっと考えていました」
悩み続けていた宮里に解決策を差し伸べたのは、やはりクラブのプロである中原だった。5月初旬のアラバマで、各アイアンにつきグリップとヘッド各1gずつ=『2g』の鉛テープを貼って重さを調節した。