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宮里美香がやめた「順位への固執」。
リオ五輪代表決定まで、あと3週間。
posted2016/06/22 11:00
text by
小林由加Yuka Kobayashi
photograph by
Shizuka Minami
7月11日、リオ・オリンピックのゴルフの出場者が決まる。
男女それぞれ60名に与えられる資格。その選考方法は、世界ランキング上位15位の中で各国4選手まで、16位以下は各国2選手まで。また5大陸のアフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニアから最低各1選手。そして開催国ブラジルから1選手。
長らく日本人ランクのトップ2を維持し、日本代表の筆頭候補だった宮里美香。早くから出場意欲を示していた宮里が今、改めてゴルフを“楽しむ大切さ”を実感している。
7歳から始めたゴルフ。世界ジュニア、日本、米国、メジャー、国対抗を経験した宮里にとって、オリンピックは唯一の未知の舞台。だからこそ「日本代表としてプレーしたい」という強い思いを計画的に達成しようとしていた。
そこで、ツアーに帯同している加藤大幸キャディー、工藤健正専属トレーナーなどで構成するチーム美香が昨年8月集まり、綿密な計画を立てた。出場予定のトーナメントを全て書き出し、宮里の得意不得意なショットのコースを明確にする。さらにポイントの加算率なども考え、どの大会でも予選通過を最低ラインとして、大会によって20位以内、10位以内と五輪へ向けて必要なポイントを割り当てていった。
この計画を作成した頃は、五輪選出のラインである世界ランキングの日本人2位以内を常に維持している状態で、「4試合に1回15位に入ることができれば、それをキープできる計算」でもあった。
順位を気にしすぎて、ゴルフが楽しくなくなった。
しかし、モチベーションになるはずだった順位設定が「多くの決めごと」として宮里に重くのしかかる。
「全くしっくりこなかった。順位を気にしすぎた分、3月、4月は色々考えすぎて、自分のプレーができなくなった。全然楽しくなかった……」
さらに追い打ちを掛けるように、連日メディアから五輪への質問を投げかけられ、「みんなから聞かれるし、期待もあるし、見えないプレッシャーがあった」と悩むことに。
大好きだったはずのゴルフ。しかし、「全然楽しめない」とつい口からこぼれるようになってしまった。