パラリンピックへの道BACK NUMBER
夫婦二人三脚で手にしたリオ切符。
パラ柔道の廣瀬悠・順子、メダルへ。
posted2016/05/10 10:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Shingo Ito/AFLO SPORT
執念が火花を散らした。
5月4日、リオデジャネイロパラリンピックの柔道の、日本代表候補選手選考会が東京・講道館で行なわれた。
パラリンピックの柔道は、視覚障害者によるもの。障害の程度による区分はなく、体重別の階級で実施される。
試合は両者がお互いに組み、主審が「はじめ」の宣告をしてから始まること、試合中に両者が離れたときに主審が「まて」を宣告して試合開始位置に戻ることを除けば、おおむね同じルールで実施される。
この日行なわれたのは、日本が出場枠を獲得している男子5階級、女子1階級。選考会は総当たりのリーグ戦形式で行なわれ、優勝すれば、そのまま代表候補に選ばれる(正式に代表となるのは日本パラリンピック委員会による審査の後となるため、「代表候補」としての扱いになる)。
いわゆる一発選考の形式だ。この大会に勝てばリオへ行ける。試合ごとに、気迫がぶつかり合った。
大会で注目を集めたのは、男子90kg級で優勝した廣瀬悠、女子57kg級優勝の廣瀬順子だった。
オリンピックでも過去2回しかない夫婦出場。
ともに高校総体に出場経験のある2人は、その後、目に障害を持ち、それぞれ視覚障害者柔道に転じた。昨年12月に結婚し、夫婦でのパラリンピック出場を誓い、大会に臨んでいた。そして、廣瀬悠は北京大会以来の出場を決め、廣瀬順子はパラリンピック初出場を決めた。
過去にパラリンピックに同時に出場した夫婦は、2000年のシドニー大会で陸上の広道純と車椅子バスケットボールの広道奈緒子のみ。
オリンピックでは1960年のローマ、'64年の東京の2大会での体操の小野喬と小野清子、'04年アテネでの野球の谷佳知と柔道の谷亮子しかいない。