松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹にした4年前と同じ質問。
「何がどう悔しい」の答えは――。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAFLO
posted2016/04/12 11:00
4日間、何度かあった危機を乗り越えて71、72、72、73で回った松山英樹。この崩れなさは経験のなせる業だ。
4年前の経験が、「今年の松山英樹」を作った。
4年前も、その4年後の今年も、どちらも悔しさを噛み締めながら72ホール目のパットを沈め、悔しさを噛み締めながらオーガスタを去る結果になった。
けれど、悔しさが大きければ大きいほど、それは多大なる前進のエネルギーと化す。4年前の悔し涙があったからこそ、その後の彼は悔しさを糧に練習を積み、努力を積み、プロになり、世界へ踏み出し、米ツアー2勝を挙げて、現在の松山英樹になった。
4年後の今年、グリーンジャケットにこれまでで最も近づきながら袖を通しそこなった悔しさは、「現在の松山英樹」を、もっともっと強く大きい「未来の松山英樹」へ成長させるはず。
到来した本当の奇跡は、そうやって悔しい崩れ方、負け方をこのオーガスタで、弱冠24歳で、2度も味わうことができたこと。松山が本当に生かすべきチャンス、逃してはいけないチャンスは、そこにある。
せっかく味わった貴重な悔しさを何よりの糧にすることができれば、それが彼にとっての最高の雪辱になる。
グリーンジャケットは、その先に、きっとある。