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電話セールスがMLSを成長させた?
チケットの売り方を教える養成所も。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byKunihiko Watanabe

posted2016/03/28 10:30

電話セールスがMLSを成長させた?チケットの売り方を教える養成所も。<Number Web> photograph by Kunihiko Watanabe

右から3人目が渡邉邦彦さん。野球の独立リーグやJ2の徳島ヴォルティスのスタッフなどを務め、MLSのインターンを経験した。

スポーツマネジメントに強いアメリカの大学へ。

「スポンサー営業、チケット販売、屋台村の売店の契約および管理を担当させて頂きました。特に自分として手応えがあったのは屋台村のブランディングです。SNSで告知し、定期的に出店者と会合を開き、おそろいのTシャツをつくり、規模を拡大できました。

 ただ、アメリカ留学を希望していたので、入社するときに『2年間限定で』とお願いしていたんですね。約束の2年を終えて2013年5月に渡米し、28歳のとき、サザンニューハンプシャー大学へ入学しました。快く送り出してくれたクラブには、今でも感謝しております」

 この大学を選んだのは、スポーツが盛んなボストン近郊にあり、スポーツマネジメント専攻で高い評価を得ていたからだ。約2年間の在学中、渡邉は大リーグのボストン・レッドソックスの傘下、AAのポートランド・シードッグスでインターンを行ない、試合のオペレーション、電話でのチケット販売対応を経験した。

チケットセールス担当者がMLSには20人も!

 そして卒業後、中村氏がアメリカでGMを務める会社に所属したのち、念願のMLSにインターンで入ることに成功した。MLSのリーグオフィスでは、パートナーシップマーケティング部に所属し、リーグスポンサーに対するサービスの部署で実地研修を行なった。その他にリーグ全体を見ていく中で驚かされたのは、チケット販売にかける情熱であった。

「チケットセールスの必要性をひしひしと感じました。マイナーのシードッグスでも約5人のチケットセールス担当者がいたのですが、MLSでは1クラブ当たり約20人もいた。リストに基づいて電話をかけまくるんです。たとえば1回チケットを買ったけれど、2回目の来場がない人に電話するという感じです」

 こういうセールス力を支えているのが、MLSが2010年に設立したナショナルセールスセンター(NSC)だ。チケットセールス担当者の養成所で、約200時間みっちりと基本と応用が叩き込まれる。アメリカ4大スポーツでもこのような機関は持っていない。年4回、コースが実施される。

【次ページ】 電話対応の6つのステップと「拒否への対応」。

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