今日も世界は走っているBACK NUMBER
金哲彦が男子マラソン選考を考える。
「リオデジャネイロでしっかり勝負を」
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2016/03/12 10:40
青山学院大の下田は、それまでの最高記録である2時間15分30秒を大幅に上回る、2時間11分34秒で10代の日本最高記録を更新。
北島選手の場合は、軽い虚血の可能性が高い?
1、横隔膜の痛み
2、虚血による腹部の鈍い痛み
横隔膜痛の典型例は子供がよくなる“横っ腹が痛い”です。急にダッシュをすると普段とはレベルの違う呼吸が必要となり、呼吸に必要な横隔膜が急激に酷使され、脇腹あたりが鋭く痛むもの。また横隔膜ではありませんが、肩を上げて一生懸命腕を振ってしまうと上半身がよじれます。そして、横隔膜と同じような場所に痛みが起きます。
いずれの場合も対応策は、腕を下げて深い呼吸をしながらリラックスすることです。
2つ目の虚血は、激しいランニングで血液が筋肉に集まって消化器官の血液が足りなくなり、胃周辺に鈍い痛みがおきてしまう状態です。
胃腸が弱く消化が遅い人はなりやすいので、レース前の食べ物には注意しなければいけません。北島選手の場合は、なんとか走れる程度の虚血による痛みではなかったかと想像しています。
3大会の結果を並べてみると。
さて、次はオリンピックの選手選考に向けて少しばかり私見を書きます。まずは、3大会の結果です。
福岡国際マラソン
3位 佐々木悟(旭化成)2時間8分56秒
5位 高田千春(JR東日本)2時間10分55秒
7位 大塚良軌(愛知製鋼)2時間12分46秒
東京マラソン
8位 高宮祐樹(ヤクルト)2時間10分57秒
10位 下田裕太(青山学院大)2時間11分34秒
11位 一色恭志(青山学院大)2時間11分45秒
びわ湖毎日マラソン
2位 北島寿典(安川電機)2時間9分16秒
4位 石川末廣(Honda)2時間9分25秒
5位 深津卓也(旭化成)2時間9分31秒
東京マラソンでは2020東京オリンピックにつながる世代、大学生たちが活躍しましたが、順位、タイムともにリオの代表になるのは難しいでしょう。また同じ東京の前半、アフリカ勢に果敢に挑んだ村山謙太(旭化成)のチャレンジスピリッツも評価できます。しかし、マラソンの勝負で最も重要な30キロからの走りには課題を残しました。