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金哲彦が男子マラソン選考を考える。
「リオデジャネイロでしっかり勝負を」
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2016/03/12 10:40
青山学院大の下田は、それまでの最高記録である2時間15分30秒を大幅に上回る、2時間11分34秒で10代の日本最高記録を更新。
過去2大会と比べればレベル低下は明らか。
全体的な結果は、過去2大会の選考レースと比較しても、残念ながら日本の男子マラソンはレベルが下がったと言わざるを得ません。
北京五輪選考レース結果
2007福岡国際マラソン 3位 佐藤敦之(中国電力)2時間7分13秒
2008東京マラソン 2位 藤原新(JR東日本)2時間8分40秒(五輪落選)
2008びわ湖毎日マラソン 3位 大崎悟史(NTT西日本)2時間8分36秒
ロンドン五輪選考レース結果
2011福岡国際マラソン 3位 川内優輝(埼玉県庁)2時間9分57秒(五輪落選)
2012東京マラソン 2位 藤原新(プロ)2時間7分48秒
2012びわ湖毎日マラソン 4位 山本亮(佐川急便)2時間8分44秒
5位 中本健太郎(安川電機)2時間8分53秒
五輪選手になったことを最大限に生かして欲しい。
今回、対象になっている誰が選ばれても初の五輪代表になります。そんな選手たちに伝えたいことがあります。
オリンピック選手になることは多くの人に夢と感動を与える素晴らしいことです。これまでの努力や苦労が結実した輝かしい成果です。しかしながら、なったことだけで満足してしまえば、その成果を最大限に生かすことができません。オリンピック選手には、さらに幅広く大きく深い夢を与えるチャンスがあります。そして、それは自分の人生を飛躍させるチャンスでもあります。
つぎつぎに開催される壮行会やメディアの取材に集中力を失いかけるかもしれません。オリンピック選手の誰もが通る道ですが、強い意志をもてば必ず乗り越えられます。
リオデジャネイロでしっかり勝負をしてください。
勝負とは、やったこともないトレーニングをただ我武者羅にやることではありません。
必ずできると心から信じて淡々とレースに集中することです。苦しいトレーニングも楽しみながら取り組むことです。
自分本位にならず、支えてくれる周囲に感謝しながらキチンと生活することです。
自分のため、家族のため、そして、応援しているすべての人のため、勇気と元気をください。