野球のぼせもんBACK NUMBER
休日が多いのに球界一過酷って!?
ソフトバンクの奇妙なキャンプを覗く。
posted2016/02/08 12:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
NIKKAN SPORTS
今春のホークスキャンプは休みが多い。
日本のキャンプは4日間練習して1日休む「4勤1休」のスケジュールが主体となっている。かつて落合博満監督が率いた時代のドラゴンズのように、「6勤1休」体制で猛練習を課した例もあった。だが、今年のホークスは「3勤1休」がメインなのだ(全7クール中、第4、第5クールは4勤)。
この提案者は工藤公康監督だった。
昨年まではホークスも「4勤1休」が中心に組まれていたが、工藤監督はメリハリを重視。それが練習の質の向上、さらには故障防止になると説く。
「練習が4日間あると、必ずどこかで抜いてしまう。3日間ならば、初日と2日目を頑張って、3日目は『さ、明日は休みだから頑張ろう』となるだろう」
選手の歩き方まで目を配っている工藤監督。
4勤キャンプの場合、選手たちによれば「やはり2日目がしんどい」という。
1日目の練習による体の張りもあるし、次の休養日まで少し遠く感じる。また、キャンプ中盤にかけて疲労がたまってくれば、選手たちの気持ちもどこか緩みがちになる危険性をはらむ。
「それが一番よくない。集中力を切らした状態で練習をやっても、怪我につながるだけ」
キャンプ期間中は必ず「休日返上」で練習に打ち込む選手がいる。だが、工藤監督はそれも推奨しない。
「そんなのアピールにはならない。それならば3日間の練習の中で目一杯やった方がいい。やる時はやる。休む時は休む」
工藤監督は昨年の就任当初から、選手の故障が最も戦力ダウンにつながると考え、選手たちの歩く動作ひとつにも目を配ってきた。選手全員のコンディションを把握し、それをもとに采配を振るう。
「選手が思いきってグラウンドでプレーするために、自分はどのような状態で送り出せるのか」
それが工藤イズムの真髄であり、昨年の大独走のリーグ優勝と球団史上初の2年連続日本一という快挙へとつながったのだ。