“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
岩波拓也と植田直通が紡いできた5年半。
U-23代表で蘇った「最強コンビ」。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/01/26 07:00
13日の北朝鮮戦で前半5分、CKに合わせて先制した植田(5番)を中心に歓喜する岩波(4番)たち。チームはこのまま1-0で逃げ切り勝利した。
ブラジルを相手に見た「世界の壁」。
だが、迎えた準々決勝。王国・ブラジルを相手に、彼らは「世界の壁」を目の当たりにすることになる。
前半にセットプレーから失点を許すと、後半立ち上がり早々にアデミウソン(現・G大阪)に鮮やかなシュートを決められ、その12分後にアドリアン(現・ナント、フランス)にも決められ、一気に3失点。その後、中島のゴールなどで2点を返すが届かず、2-3の敗戦を喫した。3失点以外の場面でも、岩波と植田はブラジルの多彩な攻撃に翻弄され続けていた。
「ブラジルのFWは本当に隙がない。体を寄せても、何もしていないのに入れ替わられてしまって、数的不利の状況を作られてしまう。しかも全員がしっかり悪いピッチに対しても足を踏み込めていた。ああいうFWを抑えていかないと、自分は世界の舞台に立てないことがはっきりと分かった」(岩波)
「DFとして3失点は凄く悔しい。特に2失点目は(アデミウソンに)行こうと思ったら、足が滑ってしまい、対応が遅れた。あそこは落ち着いてアデミウソンの前に入って、1対1を仕掛ければよかった。まだまだ自分がそういう判断を瞬時にできないということを痛感したし、まだまだ世界との差はあると痛感した」(植田)
明暗分かれた「最強コンビ」。
再び彼らが同じチームになったのは、U-17の1つ上のカテゴリー、U-19日本代表だった。
U-17W杯から約1年半後の2012年11月、あの時の悔しさを晴らすべく、翌年にトルコで開催されるU-20W杯出場を懸けたAFC・U-19選手権(UAE)に出場するU-19日本代表に、2人揃って選出された。だが、この大会で「最強コンビ」の明暗がくっきりと分かれてしまった。
グループリーグ初戦のイラン戦、ピッチに立っていたのは、キャプテンマークを巻いた遠藤航と奈良竜樹だった。だが、第2戦のクウェート戦では岩波がキャプテンマークを巻いて、遠藤とCBコンビを組むことになっていた。岩波は決勝ゴールを挙げるなど、1-0の完封勝利に貢献。第三戦のUAE戦でも岩波は遠藤とのコンビで完封し、0-0のドロー。グループリーグ突破の立役者にまでなった。岩波が着実に主軸としての活躍を見せる一方で、植田はずっとベンチから戦況を見守る日々が続いた。