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ラグビー日本代表E・ジョーンズHC、
コーチングの真髄を語る――。
posted2015/09/08 07:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Takuya Sugiyama
ウェールズ代表を破るという歴史的快挙をなし、テストマッチ11連勝という記録を打ち立てるなど、2012年の就任から着々と日本代表を育て上げてきたエディー・ジョーンズ代表ヘッドコーチ。目標であった2015年W杯のベスト8を見据え、いま何を考えるのか? そして辞任発表の真意とは?
最新刊『エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』を上梓したスポーツジャーナリスト・生島淳氏に、出版に至るまでの経緯、そして今の“エディーさん”の話をレポートしていただいた。
最新刊『エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」』を上梓したスポーツジャーナリスト・生島淳氏に、出版に至るまでの経緯、そして今の“エディーさん”の話をレポートしていただいた。
今年の春から初夏にかけて、たくさんエディーさん(エディー・ジョーンズ/ラグビー日本代表ヘッドコーチ)――と話をした。
一回90分の約束で、合計10時間以上。
「ラグビーの話だけではなく、コーチングや教育、統計学、いま世界のスポーツ界で起きていることをお話ししたい」ということで、多岐にわたってテーマを選び、ふたりで話をした。
エディーさんは話し始めるととどまることを知らず、本当に90分の間、トーク、トーク、トークの連続であった。
「コーチングはアートである」の真意とは?
印象に残った言葉がいくつかある。
「コーチングはアートである」。
これはエディーさんの信念だ。ひとつひとつの練習をよりクリエイティブにすることで、選手に刺激を与えていく。
コーチングやティーチングを高いレベルで行えば、それ自体、芸術性を帯びるとエディーさんは力説する。日本では武士道精神がまだ根強く残っていて、そうした意識が薄いのが残念だ、という。
ただし、コーチがクリエイティブになるためには、勉強とアイデアの引き出しをたくさん持つことが必要になってくる。
エディーさんは2013年の秋に軽い脳梗塞を発症したが、それをきっかけに自分がやり遂げたいことを書きだして、達成するためには何が必要かを考えていったという。
「起きたら、アイデアをメモパッドに書きつけます。一週間たって、それが残すに値するものであれば、タイプしておきます」
マメな人なのだ。