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ラグビー日本代表E・ジョーンズHC、
コーチングの真髄を語る――。
 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/09/08 07:30

ラグビー日本代表E・ジョーンズHC、コーチングの真髄を語る――。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

辞任の公式コメントで「私は新しいチャレンジをすることになります」と語っていたエディーヘッドコーチ。次はどんな「アート」を見せてくれるのだろうか……。

教えてくれたのは「ラグビーの世界地図」。

 そしてクリエイティブなアイデアを出すためには、ふだんの仕事から隔絶した環境に身を置くことが重要だという。

「異国の町に身を置くと、いつもとは違う刺激を受けるので、より創造的な発想が生まれてくることがありますね。意識的にそうした時間を持つことは重要だと思います」

 アイデアの中には、相手国への分析、対策も含まれる。対話のなかでエディーさんは、「ラグビーの世界地図」を語ってくれた。

 ラグビーはその国の政治状況や、風土を反映すること。たとえば、南アフリカにはアパルトヘイトの歴史があり、それがプレースタイルにも影響を及ぼしていること。

 また、アイルランドはピッチの外でも駆け引きを仕掛けてくるので、絶対に油断してはならない――。

 日本人にはなかなか知ることの出来ない外国の実像が見えてくる。

W杯前に辞任発表をした理由を考える。

 W杯は9月18日に開幕する。

 8月25日、エディーさんはW杯後にヘッドコーチを退任する旨を発表した。大舞台を前に、なぜこのタイミングで……という思いは、正直、私の中にもあった。日本人にとっては、なかなか受け入れがたい発表だった。

 当人のビジネス的な判断もあっただろうが、きっと、この発表さえもW杯ではプラスに変える「演出」を用意しているのではないかと私は思う。

 退任報道が発表されたあと、エディーさんのもとに、新聞を読んで心配になったというお母さんから連絡があったという。8月29日に秩父宮でウルグアイとのテストマッチを間近に控えていたからだ。

「母には新聞に書いてあることは信用するな、と言いました(笑)。結果はご覧の通りです」

 40対0。

 完勝だった。

【次ページ】 W杯本番で仕掛けてくる「アート」が楽しみ。

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