ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
日本ゴルフの低いトレーニング意識。
クラブをカスタムするように、体も。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byKyodo News
posted2015/06/03 10:30
昨年よりも明らかに一回りすっきりとした谷口徹。レギュラーツアーでの活躍を諦めていないからこそ、47歳からでも肉体改造を辞さない構えだ。
フィットネスへの意識は日米差が大きい。
米国では高級シティホテルはもちろん、長期滞在が可能な中級ホテルにもトレーニングジムが完備されているのが一般的だ。寝室自体も広く、選手が体を鍛えたり、ケアを受けたりする設備が整っていることが多い。
日本の転戦では、なかなかそうはいかない。谷口のような稼ぎの多いプロならともかく、発展途上の選手には、組織的な後押しの必要性を感じることも多い。
それでも男子ツアーでは、米国に倣ってフィットネスカーが全試合に帯同している。女子ツアーでも、日本女子プロ協会が「オフィシャルコンディショニングルーム」として、開催コースの脱衣所(当然ながら男湯のスペース)を利用し、大手スポーツクラブなどからトレーナーを派遣してはいる。
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しかし、同ルームが設置されたのは昨年実績で16試合。女子ツアー最盛期といわれる昨今、シーズンで37試合が開催されるのだから、半分以下の試合にしかトレーナーが派遣されていないのでは、中長期的なケアや体力向上を期待するのは難しそうだ。
また、選手個々が帯同させる“アンオフィシャル”のトレーナーが、この脱衣所スペースを利用するためには、1試合で1万円を協会に支払う必要がある(男子は無料だが、開催コースによってはタオルが貸与されないなどのケースもある)。
日本の女子プロは、駐車場でランニング。
ところで、日本で戦う女子プロが試合前のランニングをどこで行なっているかご存じだろうか。
なんと、ゴルフコースの駐車場である。関係者の自動車が出勤してくるのに注意を払いながら、ウォーミングアップをしているのだ。
米の女子ツアーは、男子と同じようなフィットネストレーラーを備えている。また、日本では「不可」とされているトレーナーの練習場立ち入りが認められ、アップをした後の体温を保ってボールを打ち始めることができる。ホテルなど周辺環境のみならず、設備やインストラクターの地位など、ツアーとしての肉体改造への取り組みのレベルに、差異があるようだ。