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馬産地が勝利を望んでいる馬とは?
血統から読む、第82回日本ダービー。
text by
村本浩平Kohei Muramoto
photograph byYuji Takahashi
posted2015/05/31 08:00
皐月賞は6着に敗れたものの、それまで3戦3勝で無敗の弥生賞馬となったサトノクラウン。東京コースも経験があり、巻き返しが期待される。
最も生産界が望むダービー馬とは?
優れた能力を後世に伝えるため、時には近親交配も行なうサラブレッドではあるが、それでも孫同士の配合はまず見られない。その意味でもディープインパクトを始めとするサンデーサイレンス系種牡馬の配合相手は、リアルスティールの母であるラヴズオンリーミーのような、輸入牝馬に頼らざるを得なくなっていく。
これも全てサンデーサイレンスの優れた血がもたらした弊害とも言えるが、リアルスティール、そしてドゥラメンテが日本ダービーを勝利するようだと、間違いなく種牡馬としての道が開かれるはず。その際、2頭の優れた能力を後世に遺伝させたくとも、配合相手に頭を悩ます生産者は増えそうだ。
その意味では、最も生産界が望む日本ダービー馬こそが、サトノクラウンかもしれない。
サトノクラウン最大の課題は、2400mの距離か。
母ジョコンダIIの持ち込み馬(産駒を受胎したまま日本に輸入されてきた牝馬)として産まれたサトノクラウンは、父のMarjuは勿論のこと、血統のどこにもサンデーサイレンスの血を持たない。実はキングカメハメハもサトノクラウンと同様に持ち込み馬として産まれており、日本ダービーで見せたパフォーマンスの高さはもちろん、非サンデー系の血統が種牡馬としての人気にも繋がっていった。
サトノクラウンは1番人気の評価がされた皐月賞では6着に敗れているものの、日本ダービーの行なわれる東京競馬場では、2歳時の東京スポーツ杯2歳Sで勝利。全兄弟(父と母が一緒)のLightening PearlがスプリントのGI勝ち馬と、父系、母系共に短距離系の血統であることは気になるが、芝2400mという距離さえクリアできたのなら、ドゥラメンテ、リアルスティールの2強を崩す能力は持ち合わせている。