F1ピットストップBACK NUMBER
ドライバーの技術か、最先端技術か。
F1がエキサイティングじゃない理由。
posted2015/05/31 11:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Hiroshi Kaneko
今年のモナコでは、F1がどうあるべきかをいろいろと考えさせられた。
その発端となったのは、5月14日に開かれたストラテジーグループによる会議。話し合われたテーマは、低迷するF1人気を高めるためのレギュレーション変更である。
ストラテジーグループとは、簡単に言えばレギュレーションを作成するグループで、F1統括団体FIAと興行面を取り仕切るFOM、さらにトップ6チームのメンバーを合わせた計18名で構成されている。
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今年そのメンバーを務めるチームは、メルセデスAMG、レッドブル、ウイリアムズ、フェラーリ、マクラーレン、フォース・インディア。
FOM代表のバーニー・エクレストンやFIA会長のジャン・トッドらも同席したその会議では、現在レースごとにピレリが選択しているタイヤのコンパウンドをチーム側が自由に選択することや、レース中の給油の再導入を検討することで一致。
そのほかにも、エンジンの高回転化や幅の広いタイヤの採用、マシンの軽量化なども提案に盛り込まれた。
パドックの反応は薄く、ドライバーも立ち上がった。
しかしこの決定に対して、パドックの反応は冷ややかだった。
あるチーム関係者は言う。
「コンパウンドを自由に選択できても、4種類の中から2種類ではほとんどのチームが同じコンパウンドを選択することになり、結果的に変わらない。燃料補給やマシン軽量化を導入すれば、チームはまた一からマシンを設計しなおさなければならなくなって開発費が上昇する。コストを抑えようという流れに、明らかに逆行している」
そういう声を意識したのか、F1ドライバーたちも立ち上がった。
現役ドライバーたちで構成するグランプリ・ドライバーズ協会(GPDA)の会合がモナコGPの初日に開かれ、「より良いF1のために」ファンに対してインターネット上でアンケート調査を実施することを決めたのである。