F1ピットストップBACK NUMBER
ドライバーの技術か、最先端技術か。
F1がエキサイティングじゃない理由。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2015/05/31 11:00
独走でトップチェッカーのはずが、まさかの3位に甘んじたハミルトン。優勝した同僚ロズベルクにとっては、まさに棚ボタのモナコ3連覇となった。
観戦者の減少が続くF1に危機感を感じたドライバーたち。
会議はGPDA会長のアレキサンダー・ブルツとGPDAディレクターのジェンソン・バトン、セバスチャン・ベッテルの3人が中心となって行なわれたが、集まったメンバーの中にはGPDAに加盟していないルイス・ハミルトン、キミ・ライコネン、フェリペ・マッサの姿もあった。
F1ではレース1時間半前にドライバーズパレードが行なわれ、全ドライバーが主催者の用意した車に乗ってコースを1周する。
ここ数年、観戦者数の減少が続くF1。空席が目立つスタンドへ手を振るドライバーたちが、ファンの率直な気持ちを知りたいと考えても不思議はない。
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ドライバーたちのこのアンケートに対する力の入れようは、アンケートが英語だけでなく、ヨーロッパ各国の言語、さらには中国語、韓国語とともに日本語も用意されていることに強く表われている。
ドライバーが走行ラインを無線で聞く、という失態。
そのアンケートの中にこんな設問があった。
それは「第5部 F1のすばらしさ」について尋ねているもので、「F1は、技術とドライバーの能力の適切なバランスをとる必要がある」という問いに対し、「まったく反対」から「賛成」まで5段階で答えるようになっている。
これはおそらく、最近のF1に非常に高度な技術が導入され、ドライバー自身の能力が発揮されにくくなっていることに対する危機感から用意されたのではないかと推測する。
例えば、今年のマレーシアGPではこんなことがあった。
今年のマレーシアGPの予選は雨が絡み、Q3は徐々に路面が乾いていく中で行なわれた。このとき、ポールポジションを争っていたあるドライバーが「どの走行ラインを走ればいいか?」とピットに無線で尋ねたのである。
現在、無線によるドライビングのサポートは禁止されているので、ピットにいたエンジニアは「それは答えられない」と返答したので問題とはならなかったが、この無線が国際放送とともに全世界へ流れたため、視聴者の中にはF1ドライバーに対して幻滅した者も少なくなかった。