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菊池雄星、「常に力投」に潜む副作用。
そろそろ見たい、原石の“完成形”。  

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/04/30 12:20

菊池雄星、「常に力投」に潜む副作用。そろそろ見たい、原石の“完成形”。 <Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

苦戦が続く菊池雄星だが、スケール感は失われていない。過去の最多勝利は2013年の9勝。今年は初の二桁勝利、そして目指すべきスタイルの確立が望まれる。

「自分は全力で投げないと気が済まない」

 菊池がこの5年間、前に進むための努力を続けてきたことは間違いない。昨季は、左ひじの位置を上げたり下げたり試行錯誤を重ねていたし、ワインドアップにするかセットポジションで投げるかなど、悩みながらの日々を過ごしてきた。また、オフには渡米してトレーニングを積むなど肉体改造を図り、自身のバージョンアップも常に目指している。

 しかし現実問題として、彼がもともと持っているポテンシャル、つまり「腕の振り」や「リリースの強さ」以上のものを手にできていないのが、この5年間の現実ともいえるのである。

 例えば、石川のようなピッチングの巧さ――。

 力投せずとも、試合を組み立てられる要所を心得たピッチング――。

 それらは、もはやルーキーでも、若手でもない菊池には必要とされる要素だ。菊池は、この日の石川のピッチングを見て何を感じたのだろうか。試合後に、本人に聞いてみた。

「(石川さんは)ツーアウトを取った後のピッチングなど、明らかに楽に投げていましたよね。メリハリがすごいなぁと思いました。僕自身も、あんなピッチングをやりたいなと思っているんですけど、自分はめいいっぱい全力で投げないと気が済まないって気持ちがまだあるんです。憧れです、あのようなピッチングスタイル……。でも、自分はまだまだです。もっと勉強しないといけないですね」

 菊池自身も、自身の「力投」を課題視していた。もしかすると彼が伸び悩んでいるのは、菊池本人だけの問題ではないのかもしれない、と感じた。

そろそろ、日米20球団が面談した原石の完成形が見たい。

 この日は故障明けの復帰登板にもかかわらず、菊池は7回を投げ抜き、8回のマウンドにも上がっている。横田久則投手コーチは「下(ファーム)で投げているから、特に問題ない」と試合後に話していたが、7回を終えた時点で菊池は110球を投げていた。次回の登板や1年間の体調管理、あるいは将来を見据えた場合、7回終了時点で交代するという選択肢はなかっただろうか。

「腕の振り」と「リリースの強さ」以上の要素が、5年を経過しても菊池から見えてこないのは、もはや、彼を育てる側にも一因はないか。

 この5年間、彼をどう育ててきたのか。これから、どう育てていくつもりなのか。

 プロ入り前に日米20球団が面談した“菊池雄星”というひとりの原石を、そろそろ完成品に仕上げなければいけない。

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