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「大笑いしました、あの子らしい」
町田樹の引退を聞いた時、恩師は? 

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photograph byAsami Enomoto

posted2015/04/06 10:40

「大笑いしました、あの子らしい」町田樹の引退を聞いた時、恩師は?<Number Web> photograph by Asami Enomoto

町田樹の引退試合となった、全日本選手権での演技。現在は早稲田大学大学院スポーツ科の修士課程に在学中だ。

「あの子は真面目だから、常にピークであろうとしてきた」

 ソチ五輪代表を決める2013年12月の全日本選手権では、こう語って見事に五輪切符を掴んだ。

「ビッグバンですよ。ボクの“火の鳥”は宇宙まで飛ぶ」

 ソチ五輪の団体戦では独特の言い回しで、自らが“全身フィギュアスケーター”であることを表現した。

「町田樹マイナスフィギュアスケートは、ニアリーイコールゼロ」

 羽生とならぶ日本のエースとして、町田にかかるファンの期待は、日増しに大きくなっていった。

 町田というスケーターを知るための興味深いエピソードがある。

 ソチ五輪を控え、大西がピーキングを作るために「落とす」相談をしたときのこと。

「『どこで落とそうか』と言ったんです。そうしたら彼は『え、落とす?』と驚いちゃって。あの子は真面目だから、常にピークであろうとしてきたんですね。

 町田は真面目で不器用。大学院入学とスケートの2つを同時に追うなんて真似は出来ない子が、ようやりました」

 不器用な町田にとって、勉学とスケート、2つの夢を同時に追いかけることは難しかったのかもしれない。

恩師の言葉が、町田樹を支えていたのかもしれない。

 今季、GPシリーズ開幕戦、11月のスケートアメリカの前には早稲田大の大学院を一般受験。SPの日に合格が発表された。

 そんな状況でも、彼は不安な言葉を発せず、見事に優勝を果たした。

 試合後には、こんな発言も飛び出した。

「日本には羽生選手をはじめ、たくさんライバルがいます。初戦でいいボールを投げられたと思うから、どう投げ返してくるのか、勝負を受けて立ちたいです」

 引退が頭をよぎっていた時期であったにもかかわらず、王者・羽生に挑戦状を叩きつけ、フィギュアファンを盛り上げたのだ。

「人間はな、消極的なことを言うたら、そうなっていくで」

 恩師・大西の言葉が、苦しいシーズンを送った町田樹を支えていたのかもしれない。

ここまでの2年間、町田と苦しい練習をしてきた大西は、今シーズン、愛弟子の中にうまれつつあった“異変”に気が付いていたという。
大西コーチだけが知る、町田の心情については、Number875号の松原孝臣氏の記事「町田樹が燃え尽きた夜」をご覧ください。
町田は大西コーチに、いつ、どのように引退を伝えたのか。大西が、去りゆく町田に贈った「心温まるプレゼント」についても書かれています。
この記事の全文は「Number PREMIER」でお読みいただけます。
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