野球善哉BACK NUMBER
2番に強打者を置く西武とヤクルト。
栗山と川端は2番打者像を変えるか。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/03/25 10:30
2011年を最後に打率3割は達成していないものの、出塁率はむしろ上昇傾向にある栗山巧。リーグ最強クラスのクリーンアップの前を打つ2番の責任は重大だ。
SBやオリックスの強力打線に勝つためには……。
もっとも、栗山ほどの選手を2番起用することにはリスクも付きまとう。彼のようなポテンシャルの高いプレイヤーには、別な場所を任せた方がいいという意見も当然あるだろう。
しかし栗山は、指揮官からの想いを胸に秘めたうえで、自身が2番を打つことの意味を違った意味で捉えているのだという。
「今のソフトバンクやオリックスの打線は強力ですよね。あの打線に勝とうと考えたときに、一人ひとりの成績を比較していったら、とてもかなうような相手じゃない。ですけど、僕が2番に入って活躍することができたら、十分に渡り合える要素が出て来ると思っています。なぜなら、僕の後ろは打点王(浅村栄斗 '13年)、ホームラン王(中村剛也 '14年)、ホームラン王(メヒア '14年)が控えている。
クリーンアップはどこにも負けてないわけですから、その前のバッターがどれだけ形を作ることができるか。僕が頑張らなあかんという気持ちは強いですね。また、下位打線が好機を作ってきてくれる時もあります。そこでは僕が還して、さらに後ろに回せたら、ビッグイニングを作れる。いっちょやったろという気持ちがあるのは、僕が2番を務めることで、ソフトバンクやオリックスと渡り合えるかもって思えるからなんです」
戦略的にも、「2番・栗山」が今の西武には必要なのだ。
野球は、得点を競う競技である。
当然、チームの戦術というものは生き物であり、シーズンの中で打順が変貌していくこともあるだろう。メンバーの調子の波によって変えなければいけないケースも考えられる。事実、OP戦では栗山のあとを打つ浅村が本来の持ち味を発揮できていなかった。
個人的に思うのは、今西武が採ろうとしている戦術は、今季の西武が、ソフトバンクやオリックス打線より劣るかどうかに関係なく、野球が得点を競う競技であるということを考えれば、どこのチームももっと積極的に取り入れてよいのではないだろうか。
栗山のような打者、つまり率を残せて出塁率が高く、そして長打もある選手が2番を務めることで、得点力が上がり、野球の面白味はさらに高まるのではないかという気がしてならない。