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なでしこ、過去最低のアルガルベ杯。
それでも佐々木監督が強気な根拠。
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byTsutomu Kishimoto
posted2015/03/12 11:20
アイスランド戦後、佐々木監督は「(大会中、様々なパターンを試したことについて)今大会では反省を含めて、いろいろ試みた中では良い感じで出来たと思っている」と語った。
高い位置の宮間から、大儀見へのキラーパスが。
試合後、宮間は「とにかく相手に走り負けず、味方へのサポートの距離を近くし、前への飛び出しを意識していた」と振り返ったが、その恩恵を最も受けたともいえる大儀見は宮間のポジションの変化についてこう話す。
「あや(宮間)が高い位置に入ったことで、攻撃のイメージが広がり、攻撃のバリエーションも出た。そのことで、後半はリズムがよくなり、動き出しのテンポも上がって、それぞれがそれぞれの良さを引き出せたと思う。自分としてもボールを持ったときにいちばんいいところにいてくれてプレーしやすかった」
この日はゴールにこそつながらなかったが、これまで宮間のアシストから多くのゴールを挙げてきた大儀見だけに、宮間がポジションを上げることで自らへのパスの供給が増えるとなれば、それほど嬉しいことはないかもしれない。
前線を支えたボランチ宇津木の絶妙なポジションどり。
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そして、ボランチに入った宇津木も、フランス戦同様、得意のロングフィードとテンポの早いパス捌きで中盤のスパイスとなり、こんな風に手応えを口にした。
「パスを回しても点にはならないので、(ピッチに入る前には)ゴールに直結するようなプレーを増やしていきたいと話していたら、すぐにあや(宮間)が決めてくれた。
自分は海外でプレーしていることもあって、日本人の良いところ悪いところはわかっているつもりなので、そんな中でどれだけ違ったプレーでアクセントになれるかを考えていた。チームの中では日本人になりつつ、個で外国人選手のようなプレーをやれば、攻撃のバリエーションも増えていくのかなと思っています。
(宮間のプレーについて)あやの攻撃のアイデアやポテンシャルはなでしこのなかでも長けているので、それを守備で消してしまうのはもったいない。だからこそ、あやの守備の負担を減らすことがチームにとってはすごく大事で、自分が守備に徹する方がバランスがいいかなと思いました」
また、90分ピッチに立ち続けた阪口は、前後半の違いと、「3人で、この形は初めてだった」というトップ下・宮間、ボランチでの宇津木との絡みについて、こう続けた。
「前半が悪かったということではなく、後半は優季(大儀見)とあや(宮間)が縦関係で、スペースで受けてくれるようになったのが大きかった。バイタルエリアのスペースが空いていたので、そこをFWの下に入ったあやがうまく使ったのが効いたかなと思います。
中盤では、たとえ自分が詰まっても誰かが近くにいましたし、ワンタッチでプレーできる場面が増えました。前半は1人がパスを出して、持って、パスを出してというリズムだったんですが、後半は1タッチでポンポンつなげるようになった。(宇津木とのバランスは)とくに決めてなくて、ボール状況によって上がれる方が上がろうという感じです。ルーちゃん(宇津木)は、ロングキックが蹴れ、遠くを見ているのでやりやすかった」