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「広島の新井」がファンに浴びた物。
キャンプ初日から“全力”の理由は? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/02/17 10:30

「広島の新井」がファンに浴びた物。キャンプ初日から“全力”の理由は?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年は阪神で出場試合が100試合に届かず、苦しいシーズンを送った新井貴浩。ドラフト6位で始まった逆転のプロ野球人生に、また一つ大きな花を咲かせることができるか。

日南で起こったのはブーイングではなく、拍手と声援。

 そんな新井の真摯な姿勢は、間違いなくファンに届いている。

 いきなり打撃で魅せた14日はもちろんのこと、翌日の紅白戦では5番・DHとして出場し2打数無安打に終わっても、キャンプ地の天福球場に詰めかけたファンは割れんばかりの拍手と声援を贈っていた。

 その光景を目の当たりにした新井は、感慨深げに言葉にする。

「(8年ぶりの日南キャンプは)懐かしいな、と思いながら入りました。本当にお客さんが多いですね。子供たちや家族連れもかなり来ていただいているし、僕に対してもね、たくさん拍手や声援をくれて嬉しかったです……うん、本当に嬉しかった」

 '07年のFA時のブーイングを「今でもはっきり覚えている」と新井は言う。口には出さないが、全てのファンが自分を許したわけではないだろう、ということも理解しているはずだ。だからこそ、復帰会見では「野球に取り組む姿勢と結果を出すことによってファンに納得してもらいたい」と語ったし、極端に言ってしまえば、今季の新井は贖罪を果たすためにも、是が非でも結果を残さなければならないのだ。

「実戦が増えるとバットを振る量が減ってくるんで」

 日南での一次キャンプが終了した時点で、新井は「順調にきているんじゃないですか」と一定の充足感をにじませている。

 だが、そこで安堵しないのが今季の新井だ。沖縄で迎える二次キャンプでも、自分がやるべきことは分かっている。

「やることは基本変わらないです。ただ、これから実戦が増えてくるとどうしてもバットを振る量が減ってくるんで、追い込むところは追いこんでやっていきたいですね」

【次ページ】 エルドレッド、梵、小窪、堂林との競争に勝つために。

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