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「広島の新井」がファンに浴びた物。
キャンプ初日から“全力”の理由は? 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/02/17 10:30

「広島の新井」がファンに浴びた物。キャンプ初日から“全力”の理由は?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

昨年は阪神で出場試合が100試合に届かず、苦しいシーズンを送った新井貴浩。ドラフト6位で始まった逆転のプロ野球人生に、また一つ大きな花を咲かせることができるか。

 2007年にFA宣言し阪神へ移籍した当時、広島ファンから「裏切り者」と非難を浴びた。

 親交のある金本知憲から、入団会見で見せた涙を「嘘泣き」とからかわれても、「そういうのも含めて決断したことです」と、全てを受け入れる覚悟があった。

 あれから7年――。カープに新井貴浩が帰ってきた。

 復帰会見。新井はチーム、ファンに向かって力強く宣言した。

「初心に帰って、泥だらけでプレーしている姿を見てもらいたいと思っています」

 阪神が提示した年俸7000万円を蹴って2000万円の広島を選んだ。それだけでも新井の広島への誠意と熱意は伝わったが、春季キャンプではそれを行動でも示した。

 初日から特守を志願し、2日目にはメイングラウンド脇の坂道で1時間ものダッシュをこなした。さらには、アーリーワークにも参加するなど、新井はルーキーや若手と同じように汗を流す日々を過ごしている。いや、むしろ、彼ら以上のメニューを消化しているといえるほど精力的なのだ。

「はっきり言って調整じゃないんでね」

 新井は日南キャンプでの目的をこう語った。

「はっきり言って調整じゃないんでね。まだ始まったばかりだし、今出せる力を集中しながら出していくだけですから」

 今年38歳。ベテランと呼ばれる選手のほとんどは現在アイドリング期間である。オフで硬くなった体を徐々にほぐしていき、本格的な実戦に突入する2月下旬から技術的な感覚を呼び覚ます。そして、シーズンが開幕する3月下旬に照準を合わせコンディションを万全にしていく。そんな日程で開幕に向けて調整を進める選手が多いのだ。

 しかし本人の言葉からも分かるように、新井にそのような意識はない。緒方孝市監督から「特別扱いはしない」と明言されていることもあるだろう。初日から全力――。これが今年のキャンプのテーマだ、と言わんばかりに新井は体をいじめ抜いているのだ。

【次ページ】 中日復帰時の山崎武司と共通する姿勢。

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