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熊野の“晩秋の選抜甲子園”とは?
全国の強豪が集う「超豪華練習試合」。 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2014/12/10 10:30

熊野の“晩秋の選抜甲子園”とは?全国の強豪が集う「超豪華練習試合」。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2年の夏に全国制覇を成し遂げた前橋育英高の高橋光成。3年時は甲子園出場はならなかったが、西武にドラフト1位で指名を受け、将来を嘱望される本格右腕だ。

山形中央に見つけた、ベストプレーヤー。

 夏の甲子園の出場校も、山形中央、敦賀気比の2校がやって来た。

 山形中央・秋葉飛憂雅(ひゅうが)三塁手(1年・175cm、67kg ・右投右打)、彼は私の中の、今大会のベストプレーヤーだ。

 彼は、いつもどこかを見ている。ホットコーナーを守るときも、走者として出塁しても、彼はいつも“何か”を見ていた。

 特に感心したのが、絶対にボールから目を離さないことだ。ボールが動いている間、彼は必ずその軌道を見ている。自分がからんでいないプレーでも、必ずボールの行方を注目している。

内野手にとって、ベースは「持ち場」。

 走者が塁にいれば、三塁の位置から、いつも走者の動きを見張っている。そして、合い間に風を見、投手の様子をうかがい、足元の土の乱れに気を遣い、そしてまた、走者の動きやボールの動きに視線を戻す。

 二塁けん制のベースカバーに入って、投手からの送球を受けてタッチプレー。直後、“儀式”を終えたように、走者に背を向けてポジションに戻っていくノンキな遊撃手ばかりの昨今。ほかの内野手たちだってそうだ。

 それぞれのベースは、それぞれの内野手の「持ち場」である。持ち場を侵略している相手の走者から目を離す。これは一種の「職務放棄」であろう。

 そう考えると、山形中央・秋葉三塁手の仕事ぶりは、まったく当たり前の職務を果たしているだけなのだが、その当たり前ができる選手はそう多くない。その分、とても光って見える。

【次ページ】 「旅」と「位置の移動」の違いを生むもの。

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