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<キューバの至宝の素顔>
グリエル「地球の裏側の“長嶋さん”」
text by

村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/11/21 11:30

「最強打者」の名に違わぬ鮮烈な活躍で、横浜の街を大いに沸かせたキューバの国民的英雄。帰国前、初めて経験した日本での生活を振り返った。
かつてヤクルトに在籍したボブ・ホーナーは、日本での選手生活を振り返り「地球の裏側にもう一つの野球があった」と言った。
「僕も彼と同じ言葉を使うだろうね」
10月12日。約4カ月間の歴史的挑戦を終えたばかりのユリエスキ・グリエルは、そう言い残して帰国の途についた。
横浜DeNAベイスターズに“キューバの至宝”グリエルがやってくる。
それがどれほどの大ニュースで、信じ難い出来事なのかということは、5月11日早朝、横須賀の合宿所でスポーツ新聞の一面を見た乙坂智(国際野球オタク)の「マジかよぉぉぉぉ!」という大絶叫がベイスターズの選手たちに教えてくれたという。
5月31日。キューバ政府が海外移籍を認めた2人目の選手として、多くの報道陣と日本球界関係者に迎えられ、グリエルは成田空港に降り立った。
ホームタウンとなる横浜の街では、高島屋に「最強打者グリエル、ハマスタ上陸」なんてキャッチコピーとともにチェ・ゲバラ風の似顔絵が描かれた巨大垂れ幕が出され、「グリエル、ハマスタ上陸まであと○日」とカウントダウンが行なわれていた。練習に向かえば、顔写真がプリントされたTシャツを身にまとうファンから「ユーリ!」と愛称で声を掛けられる。街中が歓待してくれるその様子に、グリエルはいたく感激したという。