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ドイツ代表が10年続けた“肉体改革”。
「体幹」を超えた「ムーブメント」とは?
posted2014/10/29 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
「テレビの前でできるような体幹のエクササイズだけでは不十分。動きの中で体を使えるようになりません」
咲花正弥(アメリカ代表フィジカルコーチ)
ドイツ代表がブラジルW杯で優勝できたのは、2000年にドイツサッカー協会が始めた「育成改革」、2004年に就任したクリンスマン前監督による「組織改革」、そして現監督のレーブによるピッチ内の「戦術改革」があったからだ。三者はそれぞれ古い概念を破壊し、イノベーションを起こした。
ただし、優勝に貢献した“改革”はそれだけではない。クリンスマンによってアメリカから呼び寄せられた『アスリーツパフォーマンス』による「肉体改革」の影響も大きかった。
『アスリーツパフォーマンス』は、1999年にアメリカ人のマーク・バーステーゲンが立ち上げたジムで、アメリカンフットボール、バスケットボール、野球、テニスなど、あらゆるアスリートの肉体強化を担っている。食事や生活の指導を行なうのも特徴。現在は『EXOS』という名前に改名された。
レーブ、クリンスマンの下で働く日本人トレーナー。
その最先端のジムに所属している日本人がいる。現在クリンスマン監督の下でアメリカ代表のフィジカルコーチを務める咲花正弥だ。咲花は2008年のユーロと2010年南アフリカW杯ではドイツ代表に帯同して、レーブ監督の下で働いていた。『アスリーツパフォーマンス』のトレーニングによって、ドイツ代表がどう変化したかを訊くには絶好の人物だろう。
今年7月、Number本誌の取材で、咲花にインタビューする機会を得た。本誌はアメリカ代表が主なテーマだったが、『アスリーツパフォーマンス』のコンセプトも聞くことができた。