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インテルと長友佑都が陥った苦境。
問題はマッツァーリの「戦術熱」? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/10/17 10:30

インテルと長友佑都が陥った苦境。問題はマッツァーリの「戦術熱」?<Number Web> photograph by AFLO

長友が退場したカリアリ戦後、マッツァーリは「10人でなければ4失点はしなかった」と厳しいコメントを残した。

長友佑都は絶対的レギュラーに返り咲けるのか。

 カリアリ戦の4失点大敗の元凶は、右サイドハーフとして先発した長友佑都にあった。

 開始10分に相手のロングボールを自陣でクリアミスし、相手FWサウの先制点を不本意にも御膳立てしてしまうと、25分と28分に続けてイエローカードをもらい、退場の憂き目にあった。

 右サイドの守備への意識は高かったはずだが、ハイボールに対してポジショニングのミスが目立った。攻撃の持ち味も出せないまま、初めてゲームキャプテンを任された試合は、苦さと悔しさだけが残った。

 カリアリ戦までの今季公式戦8試合の出場時間数を見てみると、長友のプレー時間は全選手中16番目に過ぎない。W杯後の休養によって合流が遅れたとはいえ、サイドハーフ4選手の中では最も少ないのが気がかりだ。

「3-5-2」のサイド攻撃を重視するマッツァーリ監督にとって、昨季まで長友は左SHの絶対的なレギュラーだった。

 だが、今年1月に加わったDFダンブロージオがチームに馴染み、今夏ローマからやってきたブラジル代表DFドドが左SHとして頭角を現すと、長友のスタメン待遇はなくなった。

 右サイドには本職のジョナタンもいる。今季はELもあるため、指揮官はカレンダーや対戦相手、コンディションに合わせて、4人のSHをローテーションで起用するつもりだろう。

 若返り化を進めるチームにあって、今や古参メンバーになった28歳の長友は、“追われる立場”になったのだ。

代表とクラブでポジションが違うことのジレンマ。

 長友にとっては、日本代表との兼ね合いもジレンマだ。すでに4試合を戦ったアギーレ新監督の下でも、ザッケローニ時代と変わらず基本は4バックである。

 攻撃重視の左右兼業サイドハーフとして、ユーティリティを求められるクラブでの日常から一転、代表では不動の左サイドバックとして、チーム全体の課題とされる守備力の向上に注力しなければならない。

 同じセリエ組である日本代表MF本田圭佑は、2年目を迎えたミランで開幕戦からゴールラッシュを見せ、一躍今季の地位を確立した。

 シーズン序盤の明暗は分かれたものの、長友に汚名返上のチャンスがないわけではない。

 カリアリ戦での退場から4日後、長友はELカラバグ戦に先発フル出場し、2-0の完封勝ちに貢献して再スタートを切った。

 似て非なる2つ以上のポジションをこなしつつ、インテル副主将の重責も担う長友は、長いシーズンの間に挽回を期す。

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