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“荒れる”カナダGP、今年もやはり。
ノートルダムでリチャルドが初優勝。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2014/06/15 08:00

“荒れる”カナダGP、今年もやはり。ノートルダムでリチャルドが初優勝。<Number Web> photograph by Getty Images

マーク・ウェバーの引退でレッドブルに昇格した今年、2度の表彰台、2度の4位と好走を続け、7RのカナダGPで初の優勝を手にした。

アレジも手に汗握った今年のラスト10周。

 今年、サーキット・ジル・ビルヌーブには、そのアレジの姿があった。そして、そのアレジも「ラスト10数周は手に汗握った」というほどの熱戦を繰り広げたのが、今年レッドブルに移籍したばかりのダニエル・リチャルドだった。

 メルセデスAMGの2台が1-2体制を築いていたレースが動いたのは、トップに立ったハミルトンがブレーキトラブルでリタイアを余儀なくされた47周目からだった。ハミルトンがリタイアして再びトップに立ったチームメートのロズベルグも、ハミルトンと同じトラブルを抱えていたため、ペースが上がらず、2周後の49周目には3番手を走行していたリチャルドもトップから2秒差以内に迫る。

 過去の初優勝の多くが、ライバルのトラブルなどによって転がり込んできた運を手にしてきたのに対して、今回のリチャルドはここから自ら勝利をたぐり寄せる走りを披露した。

インではなく、アウトからのオーバーテイク。

 それは前を走る2番手のペレスとトップのロズベルグをいずれもアウトからオーバーテイクする走りだった。相手をオーバーテイクするときの定石は、次のコーナーへ対して相手のイン側に入ろうとするものだが、リチャルドが乗るレッドブルはトップスピードで2台よりも劣っていた。

 そこでストレートエンドで相手に追いついて、インを差すという通常のオーバーテイクは通用しないと分析。逆にライバルよりもブレーキング時の安定性がいいことが後ろを走っていてわかっていたため、アウトからコーナーに進入しても、相手をかわせると決断する。

 残り5周の1コーナーで2番手のペレスをオーバーテイクしたリチャルドは、その2周後の最終シケインでトップのロズベルグも攻略。57戦目での初優勝は、運だけではなく、冷静な分析力と、素早い決断力によって、実力で得た勝利だったといえる。

 過去20年間、ここで初優勝を挙げたドライバーは、'07年のハミルトンを除いて、'95年のアレジにしろ、'08年のロバート・クビサにしろ、初優勝が最後の優勝となってしまった。しかし、今回のリチャルドの初優勝は、その轍を踏まないような力強さを感じた。次の1勝を楽しみにしたい。

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