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“荒れる”カナダGP、今年もやはり。
ノートルダムでリチャルドが初優勝。

posted2014/06/15 08:00

 
“荒れる”カナダGP、今年もやはり。ノートルダムでリチャルドが初優勝。<Number Web> photograph by Getty Images

マーク・ウェバーの引退でレッドブルに昇格した今年、2度の表彰台、2度の4位と好走を続け、7RのカナダGPで初の優勝を手にした。

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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Getty Images

「荒れるカナダGP」という言葉がある。モントリオール郊外のノートルダム島で開催されるこのレースには、過去何度となくドラマティックな展開となり、初優勝者を生んできた歴史があるからだ。

 その歴史はノートルダム島で初めて開催された'78年に遡る。地元の英雄ジル・ビルヌーブが初優勝を記録したレースが、母国グランプリだった。表彰式には当時、首相を務めていたピエール・トルドーが列席し、祝福した。

 '80年代にここで初栄冠に輝いたのは、'89年のティエリー・ブーツェン(ウイリアムズ・ルノー)だった。トップを独走していたマクラーレン・ホンダのアイルトン・セナが、エンジントラブルによって残り3周でストップ。95戦目での初優勝は、ナイジェル・マンセルが持っていた72戦目を破って、当時の最遅初優勝記録となった。

 '95年にはジャン・アレジが感動的な初勝利を飾った。優勝候補に挙げられていたデーモン・ヒルがレース中盤にギアボックストラブルでリタイア。トップに立っていたミハエル・シューマッハーもパドルシフトに問題が発生して、残り11周で緊急ピットイン。代わってトップに立ったのがアレジだった。

 次の周、ホームストレートを通過するとき、サインボードに出されていた1位を意味する「P1」という表示を、アレジは最初は信じられなかったという。しかし、翌周も、またその翌周も表示は「P1」のまま。自分がいま優勝に向かったカウントダウンをしていると悟ったアレジは、残り2周、涙で「P1」の文字が見えなかったと後日、語ってくれた。

アレジのカーナンバー「27」にまつわる秘話。

 このアレジの優勝に感動したのは、本人だけではない。地元カナダのファンにとっても、アレジの勝利は特別なものとなった。なぜなら、そのときアレジが駆っていたフェラーリのマシンにつけられていたカーナンバーが「27」だったからである。27番はジル・ビルヌーブが'82年にフェラーリで使用していたカーナンバーで、同年、不慮の事故死を遂げたジル・ビルヌーブを偲んで、フェラーリが大切に使用してきたカーナンバーとして知られてきた。

 その「27」をつけたアレジが、Salut Gilles(やぁ、ジル)と書かれたフィニッシュラインを超えたものだから、観客は大興奮。まだ全車フィニッシュしていないにも関わらず、コース内になだれ込んだために、後方のマシンがスローダウンを余儀なくされ、主催者はレースを1周減算するという椿事が起きたほどだった。

【次ページ】 アレジも手に汗握った今年のラスト10周。

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