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今度こそ本物の“ブッフォン2世”か。
現役高校生セリエGK、スクフェット。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/04/30 10:30
今やイタリア中の期待を背負うことになった17歳のシモーネ・スクフェット。イタリアが誇る名ゴールキーパーの系譜にその名を連ねることができるか。
目下の悩みの種は「経済」科目の点数。
限られた時間で勉強と仕事を両立させることは困難だが、本来学業優先の育成年代であるスクフェットにとって、身近な理解者である25人のクラスメイトや1学年下のガールフレンドとの日常が、グラウンドでの平常心につながっていることをクラブは重視している。負けが込んでチームへ強制合宿を強いた期間も、スクフェットには特例として高校への通学を認めた。
「(U-18代表合宿と重なって)クラスの皆といっしょにローマへ修学旅行に行けなかったときは本当に悔しかった!」と語るスクフェットの素顔は、普通の高校生と何ら変わりない。
目下、彼の悩みの種は「経済」科目の点数が及第点に満たないこと。何とか追試を免れるために、17歳の正守護神は懸命に課題をこなしている。
ブッフォンの存在はイタリアにとって大きすぎた。
イタリアは、時代ごとに優れたGKを輩出してきた。
'70年代のゾフに始まり、'80年代のガッリらを経て、'90年代にはゼンガやパリューカ、ペルッツィなどGK百花繚乱の時代が訪れた。そして、'95年11月、当時17歳だった怪物GKブッフォンがデビューした。
ブッフォンがサッカー史上屈指の名GKであることに異論は少ないはずだ。
ただし、ブッフォンの存在はあまりにも大きくなりすぎた。
イタリアは21世紀に入って4回目のW杯を迎えようとする今も、36歳になったアズーリの守護神ブッフォンの後継者を見つけ出すことができないでいる。“ポスト・ブッフォン問題”は、イタリアサッカー協会にとって積年の課題だ。
4年前の南アフリカW杯では、腰部ヘルニアを発生させたブッフォンの代役として急遽GKマルケッティがグループリーグを戦った。しかしその後のマルケッティは成長の継続性を欠き、'11年夏のラツィオ移籍後も伸び悩んだ。
現U-21イタリア代表であるGKペリン(ジェノア)とGKバルディ(リボルノ)の2人は、今季それぞれのチームでレギュラーの座を奪ったが、ブッフォンの座を脅かすところにはまだ到底至らない。