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今度こそ本物の“ブッフォン2世”か。
現役高校生セリエGK、スクフェット。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2014/04/30 10:30

今度こそ本物の“ブッフォン2世”か。現役高校生セリエGK、スクフェット。<Number Web> photograph by Getty Images

今やイタリア中の期待を背負うことになった17歳のシモーネ・スクフェット。イタリアが誇る名ゴールキーパーの系譜にその名を連ねることができるか。

ブッフォン「歴史を書ける人間はそう多くはいない」。

 昨年の年末、あるインタビューでブッフォンは少々意地悪な質問を受けた。「貴方が後進に道を譲らない限り、彼らは誰一人アズーリのユニフォームを着れないまま年老いてしまう」と非難めいた口調で問われたブッフォンは、躊躇せず言い返した。

「歴史を書ける人間はそう多くはいない。俺はそれができる幸運に恵まれたのだから、最後の最後まで固執する」

 つまり、36歳のベテランは闘志をむき出しにして“自分から道を譲るつもりは毛頭ない”と言い切ったのだ。

 これまでに無数に現れた“ブッフォン2世”たちは、フィジカルサイズや反応速度、セービング能力や指示力といったGKとしての総合力で本家ブッフォンに及ばず、第一線から消えていった。

 今年の1月で24歳になったサンプドリアのGKフィオリッロも、かつて“新ブッフォン”と呼ばれた1人だった。U-19代表時代に'08年欧州選手権で準優勝したが、セリエBの地方暮らしが続いた。

「スクフェットのプレーは当然見てるよ。あの年齢で、分別がついたプレーをしているのに驚いた。イタリアでは、ポッと出の若手へすぐにブランドのラベルを押し付ける。なのに、1回でもミスをすれば、ラベルはあっという間に剥がされる。“ブッフォンの後継者たち”に必要なのは、辛抱強く成長を見守ってやることだ」

 スクフェットと同じフリウリ地方出身である御大ゾフもまた「困難な時期が来ても周囲が信頼してやること、そして本人は地に足をつけ続けることが大事だ」と後押しするのだった。

直接2人が対峙した33節、後輩に送った賛辞。

 ブッフォンは、33節にフリウリ・スタジアムへ乗り込み、スクフェットと対峙した。

 新たな後継者候補は、前半のうちにFWジョビンコとFWジョレンテに2失点を喫したが、後半に立て直した。2-0の完封勝ちを収めたブッフォンは同業の先輩として、賛辞をスクフェットに送った。

「17歳でセリエAにデビューするのは簡単なことじゃないことは俺もよく知っている。若くして上のレベルで通用するには、よほど自分に自信を持っていないとダメだ。スクフェットは素晴らしいキャリアを築くだろう」

【次ページ】 「自分のレベルを証明するのはこれから」

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