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フォース・インディア5年ぶり快挙。
日本人エンジニアが打って出た勝負。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2014/04/20 10:40

フォース・インディア5年ぶり快挙。日本人エンジニアが打って出た勝負。<Number Web> photograph by AFLO

フォース・インディアにとって5年ぶりとなる表彰台は、ドライバーのセルジオ・ペレスにとっても2年ぶりのことだった。

20秒後方にはレッドブル、ゴール時の差は0.4秒。

「2ストップか3ストップかは、タイヤのデグラデーション(劣化)をどう読むかで違ってきます。私が予測したデグラデーションのデータから、ウチのストラテジスト(レース戦略担当者)は2ストップのほうがトータルで早くフィニッシュできるという計算を弾き出しました。そして、ウチのドライバーのタイヤの使い方なら、絶対に行けると信じていました」(松崎)

 果たして、その決断は正しかった。なぜなら、約20秒後方に同じ2ストップ作戦を敷いていたレッドブルが迫っていたからである。もし、3ストップ勢を意識しすぎて、セーフティーカーラン中にピットインしていれば、レッドブルとのポジションは入れ替わっていたからだ。さらに、そのレッドブルが新品タイヤを履いた3ストップ勢をブロックする存在にもなるのである。57周目のコントロールラインをペレスが3位で駆け抜けたとき、4位のダニエル・リチャルドとの差はわずか0.4秒だった。

「今週末はクルマをうまくセットアップできたし、レース中のタイヤの使い方もレースエンジニアを通して、うまく行った。通常はどこかでひとつやふたつ、うまく行かないことがあるんですが、今回は完璧とは言いませんが、ほぼノーミスだった」

「レースの世界は、仕事がすぐに結果に表れる場」

 2009年ベルギーGP以来となるフォース・インディアの表彰台は、2011年にチームに移籍してきた松崎にとって、うれしい初表彰台でもあった。ブリヂストン時代に多くの表彰台を経験してきた松崎。しかし、フォース・インディアの一員として初めて手にした今回の快挙は格別なものだった。

「会社とレーシングチームの違いは個人の責任の範囲。レーシングチームのほうが責任分野が広いし、明確です。例えば、タイヤの使い方や戦略でミスすれば、それは私の責任になる。会社だったら、そこまで個人の責任を問われることはないでしょう。今日はうまく行きましたが、いつミスするかわかりません。安定性という意味では企業に属していたほうがいいかもしれないけど、私は勝負してみたかった。レースの世界は、自分の仕事がすぐに結果となって表れる場ですから」

 勝負を制するためには、まず勝負に出なければならない。1年前、挑戦せずに表彰台を逃した松崎にとって、今回の3位表彰台はきっと忘れられないものとなるだろう。

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