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W杯優勝国は「すでに決まっている」!
波乱の歴史が教える6つの『法則』。 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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posted2014/04/14 10:40

W杯優勝国は「すでに決まっている」!波乱の歴史が教える6つの『法則』。<Number Web> photograph by AP/AFLO

昨年度、自身2度目のバロンドールを獲得したクリスティアーノ・ロナウド。しかし過去に、W杯前年度にバロンドールを受賞してW杯で優勝を手にした者は一人としていない……。

ドイツの『皇帝』が放った、無慈悲な一言とは。

 さらに歴史をさかのぼれば、1986年のフランスや1982年のブラジルという「魅惑の本命」がファイナルの手前で無残に散っている。そしてワールドカップ史上に残る最強国の『三大悲劇』と言えば1950年のブラジル、1954年のハンガリー、そして1974年のオランダだろうか。実のところオランダは大会に入ってから本命に「格上げ」されたが、当時の常識を覆すトータルフットボールの衝撃は見る者に「絶対本命」を印象づけるものだった。

 同じように破格の強さを誇った当時のブラジルやハンガリーの優勝を疑う人々も少なかったはずである。そんな最強チームがなぜ負けてしまうのか。いまもって「呪われたファイナル」のナゾは解けていない。いや、ナゾと決めつけてしまってはドイツの偉大なる『皇帝』フランツ・ベッケンバウアーが黙っていないだろう。

「強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ」

「最も強い者」が勝者になりにくい大会を予想するには?

 まさに「勝てば官軍」である。究極のあと出しジャンケン(?)みたいな言い草の前では「ドイツが勝ったのではない。オランダが負けたのだ」というヨハン・クライフの一回ひねりの反論も弱々しく感じられる。ベッケンバウアーのドヤ顔がありありと目に浮かぶ名ゼリフは「強者=勝者」という等式をあざ笑うワールドカップのコスモロジー(世界観)を見事に言い表すものだろう。勝負事に「絶対はない」という教えを実感させるフットボールの醍醐味と言っていい。

 ここで頭を悩ませる問題が、大会前の「予想」だろう。基本的に優勝国の予想とは「強い者が勝つ」という信憑に基づいて「強い者」のうちから「最も強い者」を探し出す試みと言っていい。そして最も多くの支持を集めた強者が本命の座へ躍り出るという寸法だ。しかし現実には最も強い強者が最後の勝者になりにくいのである。

 では、いったいどうすれば「未来の勝者」を先取りできるのか――。いい加減に本題へ移らなければならない。今回はイントロダクションも兼ねた「第1話」ということで、よく知られた、あるいはなじみの深い(?)『掟』から入ってみたい。

【次ページ】 W杯で優勝できない、ある「賞」の呪い。

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