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チーム初のCL、そしてW杯へ――。
岡崎に必要なのはエゴか、献身性か?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byPicture Alliance/AFLO
posted2014/04/11 10:30
バイエルンとの試合以降、コンディションを落とすマインツの中で苦しむ岡崎慎司。クラブ史上初の欧州カップ戦の出場権を賭けて、終盤の5試合に挑む。
「やっぱり真ん中にいないと、点は取れないですから」
一つ目の理由が、トゥヘル監督が最前線に張って、裏へ抜ける動きを求めるからだ。昨年10月のホッフェンハイム戦からフォワードとしてコンスタントに起用されるようになった岡崎は、当時こう話していた。
「監督の求める1トップとしての動き方がなんとなくわかってきたんですよね。今日の試合でも裏に抜けるタイミングがけっこうあったし、あとは、自分が行けるかどうかの勝負だと思うんです」
そして、最大の理由が、ゴールに近い位置にとどまることがゴールへつながると確信したからだ。
「やっぱり真ん中にいないと、点は取れないですから。そこで勝負してクロスから1本決めれば自分の勝ちだ、というフォワードとしての考えもあるし。それをずっとこのシーズンはチャレンジしてきたのでね」
エゴイスティックであっても、チームのためになる。
昨シーズン、主に左MFで起用されていたシュツットガルトでは、チームのために自分に出来ることは何かと考え、ときにはDFラインまで下がって守備をしたり、攻撃でも中盤の底まで下りてきてパスを受けようとしていた。ただ、そうした役割は当時のラバディア監督には評価されず、年間を通してレギュラーとして活躍できなかった。
しかし、そこでの反省を踏まえて臨んだドイツでのシーズン終了後のコンフェデレーションズカップでは、ゴールを第一に考えてプレー。3試合で2ゴールを決めて、3戦全敗に終わった日本代表の中で確かな存在感を放った。
マインツへと移籍した今シーズンもシーズン序盤戦では監督から、あるいはチームメイトから、何を求められているのかを明確に理解できず、ボールを受けるのが怖いとさえ感じることもあった。
しかし、先に挙げた10月のホッフェンハイム戦あたりから、状況は大きく変わっていった。自分に求められていることを理解したのと同時に、あることに一つ気がついたのだ。
昨シーズンはチームのバランスを取ることがチームのためになると考えていたが、ときにエゴイスティックであっても、貪欲にゴールを狙った結果、ゴールを決められるのであれば、それもまたチームのためになるということだ。