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バイエルンを苦しめた「弱者の戦い」。
フル出場の香川真司が感じたこと。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byREUTERS/AFLO
posted2014/04/10 12:25
「ユナイテッドは、ホームの時と同様(GKの)デ・ヘアと8人もの選手で守備を固めていて、ほとんどスペースも無かった。(敵の先制ゴールから)1分ほどで追いつけたことは、運もあったかもしれない」と試合後に語っているグアルディオラ。
感情的に語るグアルディオラの試合前日会見でのコメントに、プレッシャーは表れていた。
「もしも我々が準決勝に進めないとしたら、それは新監督(グアルディオラ)にとっての大きな、大きな、『ミステイク』だ」
この会見でグアルディオラはドイツ語を話していたのだが、ドイツ語で「失敗」を意味する「Fehler」というべきところを、英語で「Mistake」と話してしまった。それほどに、彼が受けるプレッシャーは大きかったはずだ。
バルセロナの監督時代に臨んだCLで準決勝に進めなかったことは一度もないし、何より、彼が率いているのは現役のCL王者だ。
だからこそ、4月9日の準々決勝2ndレグでマンチェスター・ユナイテッドを3-1で下したあとに、興奮気味に語ってみせたのだろう。
「これは今シーズンの中でも最高の試合だ。私は本当に、本当にチームを誇りに思うよ」
グアルディオラ率いるバイエルンが、これほどまでにユナイテッドに苦しんだのは何故だったのだろうか。
ユナイテッドの守備に苦しんだバイエルン。
「フォーメーションなんて電話番号みたいなものだ」というグアルディオラの言葉が、これほどふさわしい試合はないのかもしれない。この試合の両チームのフォーメーションをひとつで表すのは無理な話だ。
バイエルンは守備時には全体をコンパクトにした上で、アンカーのクロースがセンターバックの間に位置取り、完全にDFラインに吸収されて5-4-1のような形からスタートする。そこから相手のボールホルダーの位置にあわせて、次々とプレスをかけていく。攻撃に移ると、2-3-2-3のような形になった。
それでも、バイエルンの攻撃は思うように機能しなかった。ユナイテッドの守備が機能していたからだ。