日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ザッケローニの強引さが見えた!?
細貝、岡崎ら欧州挑戦組招集の裏側。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/12/29 08:00
欧州の各国リーグにとって、アフリカ系選手がクラブを離れるアフリカネイションズカップと共にアジアカップも頭痛の種になるのか? ザッケローニ監督も同じ問題で過去悩んだはずだが……
今回の招集リストは「2014年型ベストメンバー路線」。
ザッケローニ自身、歴代の監督ほどはプレッシャーを感じていないはずだ。これまで招集してきた中村憲、阿部を思い切って招集リストから外し、このタイミングで「2014年型ベストメンバー路線」に切り替えたことからも“育てながら勝つ”ことに比重を置いていると思われる。2011年秋に始まるW杯3次予選を睨みつつ、このアジアカップをチームの土台づくりの1カ月として考えているに違いない。
ザッケローニの方針は十分に理解できるし、土台づくりに必要な23人のメンバーだと受け取ることができる。ただ、今回のメンバー選考において一つ“難クセ”をつけるとすれば、1月の移籍市場でレバークーゼン移籍が正式決定した細貝萌(2部アウクスブルクにレンタル移籍)、シュツットガルトから正式オファーが届き、移籍濃厚とされている岡崎慎司の2人がメンバーに入ったことである。
欧州での日本人選手の苦闘を知っているはずのザッケローニ。
協会側は、欧州に移籍する選手のケースは正式に決まったうえで対応を考える、という認識を示していた。しかし細貝の移籍発表が23日で、アジアカップのメンバー発表が翌24日であったことを考えても、移籍が正式に決まったところでアジアカップには参加すべし、というザックの意向がそのまま反映されたことが明白となった。
27日には槙野智章のケルン移籍が一部スポーツ紙で報じられている。岡崎を含め、今後欧州移籍が決まった選手についてはメディカルチェックなど一連の手続きが終了次第、カタールに呼び寄せることになる。
筆者は、1月に欧州移籍する選手に関しては招集を回避すべきではないか、という意見を持つ。
ドイツのブンデスリーガは積雪の影響を考慮しての冬季休止期間を経て1月中旬に再開するが、アジアカップの日程は1月29日まで。決勝まで進むと大幅に遅れてチームに合流することになり、レギュラー争いにも大きな影響が出てくる。
セリエAで指揮してきたザッケローニなら、日本人選手が欧州のクラブで自分のポジションをつかみ、定着することがどれほど難しいかを理解しているはずだ。そして、レギュラーで出場できれば、どれほど成長できるかも分かっている。アジアカップを軽視するつもりなど毛頭ない。ただ、今回の大会は欧州のカレンダーに合わないイレギュラーの大会であるため、場合によっては選手に一定の配慮が必要になると筆者は考える。