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「2+2+2=1」だった天皇賞・秋。
シルバーコレクターたちの大金星。 

text by

阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byKYODO

posted2013/10/30 10:30

「2+2+2=1」だった天皇賞・秋。シルバーコレクターたちの大金星。<Number Web> photograph by KYODO

ジャスタウェイは1番人気、GI4勝のジェンティルドンナに4馬身差をつける圧勝。福永は菊花賞に続き、2週連続のGI制覇となった。

「あと一歩」を打破する、たったひとつの冴えたやりかた。

 そのトリオがみごとに1を取ったのだからめでたいことはめでたいが、落胆した馬券師も多かったのではないか。ある競馬仲間などは「どの馬が勝つかはわからんが、ジャスタウェイの2着だけは鉄板だ」と2着づけの馬単馬券で大きく勝負に出ていた。坂上であざやかに抜け出して差を広げたジャスタウェイを見て、頭を抱えただろう。

 2着の多い馬はもちろん2着をねらうからそうなるわけではない。いつもなにかが足りないし、なにかが邪魔をする。「ワンパンチ足りない」というヤツだ。

 それを打破するには思い切った乗り方をしてみるという手もある。たとえば、ジャスタウェイは追込馬だが、スタートから出ムチをくれて先行するといった作戦だ。内田博幸の乗った京都記念などはそんな感じのレースで4、5番手を進んだが、なし崩しに足を使い、いつも勝てないけれど馬券の圏内にはいるこの馬には珍しく5着に終った。ギャンブルは一見すると勇ましいが、うまく成功することはめったにない。

 だから、ありきたりの話だが、できることをやりつくして、あとは運を待つという手しか結局はない。

幸運と、それを呼び込む的確な準備とは。

 ジャスタウェイに2着が多い理由のひとつは出遅れ癖があるからだ。スタートで出負けするからどうしても後方を進まざるを得ない。直線で追い込んできても最後は出遅れた分だけ及ばない。福永はそれを最小限にとどめるために手をつくした。レースのはじまる前にゲートに入れてスタートへの意識を高める練習をした。正式には認められていないそうで、非公式の秘密練習のようなものだったが。

「走りにくいのに早いタイムが出る馬場だったので、どこを通すかもだいぶ考えました」

 いつもレースのはじまる前に馬場を歩いて状態を確かめるのが福永のスタイルだが、この日はレースがはじまっても馬場状態の変化に注意を向けつづけた。

 実際のレースでは、その準備がさまざまな幸運を呼び込んだ。

「向こう正面では周りに馬がいてポケットのようなポジションに入り、楽に運んだ。近くにエイシンフラッシュがいていい目標にもなった。直線ではまるで道ができているように外目にコースが開いた」

 そこを躊躇せず抜け出た。トウケイヘイローが速いペースで飛ばしたのもよかったし、馬場の回復が速かったのも助かった。2+2+2=1には幸運もあったが、それを呼び込む的確な準備があったことも忘れてはならない。

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ジャスタウェイ
福永祐一

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