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“ミスターDEEP”長南亮、万感の引退。
最後の闘いに込めたメッセージとは? 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2013/10/26 08:01

“ミスターDEEP”長南亮、万感の引退。最後の闘いに込めたメッセージとは?<Number Web> photograph by Susumu Nagao

PRIDE、UFC、戦極など多くのリングで活躍した長南亮。最後に故郷DEEPに錦を飾って引退した。

 10月20日、後楽園ホールで開催された『TRIBE TOKYO FIGHT』は、DEEP協力のもと長南亮が主催した自主興行である。

 メインイベントにはダン・ホーンバックルが持つDEEPウェルター級王座に長南が挑むタイトルマッチが組まれた。PRIDEやUFCでも活躍した長南だが、ホームリングとしてきたのはDEEP。海外に流出した古巣のタイトルを取り戻すという“最後の仕事”を、自らプロデュースした形だ。

 近年、菊田早苗の『GRABAKA LIVE!』、桜井“マッハ”速人の『マッハ祭り』、宮田和幸の『BRAVE FIGHT』と、ベテラン選手の自主興行が増えている。菊田は素手ルールで闘い、宮田は若手の育成を主眼とするなど特徴はさまざまだが、日本に“メジャーイベント”がなくなった状況の中で業界にインパクトを与えたい、自分が理想とする大会をやってみたいという思いは共通している。

DEEP、修斗、パンクラスの現役王者が集結。

 プロデューサー・長南は、その豊富な人脈から団体の枠を超えたカードを数多くラインナップした。セミファイナルは元パンクラス・DEEP王者の前田吉朗と修斗で2冠、アメリカ・KOTCのタイトルも獲得したマモルの初対決。これまでは主戦場も階級も違った大物同士の、フレッシュかつ緊張感ある対決だ。

 さらに前DEEPウェルター級王者で、長南の弟分である白井祐矢は修斗の環太平洋王者・村山暁洋と対戦。長南主宰ジムTRIBE TOKYO M.M.Aに所属するパンクラス王者・佐藤豪則も登場した。DEEP、修斗、パンクラスの現役王者が一度に見られる興行など、めったにあるものではない。

「狭い日本で足の引っ張り合いをしたくないので。現状でも見たい組み合わせはたくさんありますからね」と長南は言った。ルールはDEEPルールとTRIBE TOKYO FIGHT(TTF)ルールの2種類。TTFルールは米アスレチック・コミッション認定ルールをベースにしている。日本を盛り上げ、かつ“北米対応”の選手を育てていこうというわけだ。

【次ページ】 長南亮のすべてが出たラストマッチ。

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