濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“ミスターDEEP”長南亮、万感の引退。
最後の闘いに込めたメッセージとは?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2013/10/26 08:01
PRIDE、UFC、戦極など多くのリングで活躍した長南亮。最後に故郷DEEPに錦を飾って引退した。
引退セレモニーを行わなかった真意とは。
判定は5-0。ジャッジ全員が長南を支持した。日本に取り戻したベルトは、本人の希望通り、そのまま長南に寄贈されたそうだ。
「これから新しいベルトで、もっとハイレベルな新しい闘いをしてほしい。ホーンバックルが来てもベルトを獲られないくらいになってほしい」
そう語った長南。試合後にテンカウントゴングなどの引退セレモニーを行なわなかったのも、彼自身のプランだった。
「タイトルマッチだからメインになったけど、自分が主役になりたくなかったんですよ。新しい大会で、オレを食うような選手に出てきてほしかった。これから、若い選手が頑張れるような努力をもっとしていきます」
彼が常に考えていたのは、自身の花道ではなくあとに続く選手たちの道を作ることだった。引退を決めた理由として「オレたちみたいなベテランがいつまでも居座って、高いファイトマネー取ってちゃいけない」と語ったこともある。
長南の引退に“一つの時代が終わった”という決まり文句は当てはまらない。彼は最高の引退試合で、新たな時代の幕開けを導いたのだ。