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<アスリートはゴルフに夢中!> 白鵬翔 「ゴルフも相撲も心技体」
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/11/20 06:00
力士は体幹が強いからゴルフでも体がブレない。
でも、今はストレス発散で楽しくやれる。みんなで昼飯を食って、「後半どうなるかな」と言い合い、下手くそなりに工夫したり、「あまり食べると腹が張るから、打ちにくくなるんじゃないか」などと考えてみたり(笑)。終わった後に風呂に入って、「今日はああだった、こうだった」と、みんな一緒に楽しめるのがいい。旭天鵬関なんて場所後1週間の休みのうち5日間はゴルフ場にいますよ(笑)。
相撲では、体が硬い人より軟らかい人のほうが、安定感もあって強い。力士は体幹がしっかりしているから、ゴルフでも体がブレない。ちょっとした力だけで、かなり飛びます。旭天鵬関のスイングは面白いんですよ。パターを打っているような小さなスイングなのに、メチャクチャ飛びますからね。力士の場合は、腹も出てるし腕も太いし、フォームが綺麗でなくとも、芯に当たってブレがなければ、パワーだけで持って行けますから。
「いざ! ここ一番」で勝てる者が本物だと思います。
仲のいい宮里美香さんから、彼女と同じモデルのフルセットをもらったんです。ドライバーなどを自分に合わせて調整してもらい、このセットを使ったら、自己ベストの84が出た。直前には108叩いていたし、それまでは90がベストスコアだったんです。バンカーが間にあって、下りの結構難しい場面だったので、あれこれ考えてフェイスをいつもより寝かして打ったら、ポーンといい感じにボールが当たり、転がってチップインバーディ! この84はまぐれだと思ったら、その4日後には86。この時はドライバーがよかったんです。280ヤードくらい飛ばしますが、一時期、ボールがトップ気味で左右に飛んだり、タイミングがずれたりと、まったくダメだった。
いろいろ考えて、この時に何をイメージしたかというと、YouTubeで何度か見ていたスペインの闘牛。どうも、打つ時に肘が曲がっていたようなんですね。それを、闘牛士が旗を持ってヒラリと牛をかわす時のように、肘をまっすぐ伸ばして優雅に振る感覚で打ってみたら、これがよかった。
相撲勘や土俵勘という言葉がありますが、ゴルファーたちにも「ゴルフ勘」があると思うし、感覚が大事だと思うんです。頭であれこれ考えもしますが、やはりゴルフも「心技体」が大切。相手と数字を競うといっても、孤独な戦い、自分との戦いです。相撲でもゴルフでも、「いざ! ここ一番」という時に勝てる者が本物だとも思いますね。
ベストスコア70台を目指していますが、第69代横綱ですから、目標を大きく69に――いやぁ、横綱でいる間は無理かな。忙しいし、やはり相撲が一番大切ですから。