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最下位サラゴサにアギーレ監督就任。
泥沼チームを本当に立て直せるのか?
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2010/12/16 10:30
両親はバスク系メキシコ人で、スペインにルーツを持つアギーレ。現役時代はメキシコ代表として活躍し、1986-87シーズンにオサスナでプレーしている
開幕から一向に調子が上がらず最下位に沈むサラゴサは、新監督にハビエル・アギーレを迎え、巻き返しを図ろうとしている。
15試合を戦ってサラゴサの勝ち点はわずか9で白星は1つしかなく、成績は1勝6分8敗。6引き分けという数字が示すように、勝ちきれない試合が多い。
数字上では、勝ち点22で8位と9位に位置するアスレティック・ビルバオ、レアル・ソシエダは共に7勝1分7敗と、敗戦の数はサラゴサと1しか変わらず。サラゴサは降格圏に沈み続けているものの、中位チームとの戦力差が成績ほどに開いているわけではない。これまで勝ちきれずにいた試合に勝てるようになれば、残留は十分に実現可能な目標になる。
その役目を託されたアギーレは、実績から見ればまさに適任者だ。
メキシコを2度もW杯ベスト16入りさせたアギーレだが……。
記憶に新しいのは南アW杯、ベスト16入りしたメキシコを率いた。
2002年の日韓W杯でもメキシコをベスト16に導き、その後はオサスナ、アトレティコ・マドリーを指揮してリーガでも実績を残した。
アギーレのチームの特徴は、堅守速攻だ。全体をコンパクトに保つ運動量、集中力をチームに浸透させ、素早いカウンターで勝利を引き寄せる。この戦法でオサスナではクラブ史上初のチャンピオンズリーグ予備予選出場、アトレティコでは12年ぶりとなるチャンピオンズリーグ出場権獲得を果たした。
その反面、アトレティコ時代には、攻撃を組み立てて試合をコントロールするチーム作りができないという欠点も露呈した。アグエロ、フォルランを中心としたカウンターを警戒して守備を固めた相手を崩せず、逆にカウンターを食らって失点するということも少なくなかった。その悪循環がアトレティコから追われる直接的な原因にもなった。
だが、現在のサラゴサに必要なのは、アギーレが得意とする堅守速攻のチーム作りだ。サラゴサの陣容を見ると、アギーレのスタイルと相性は良いはずだ。