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“相撲の神様”双葉山が
追い求めた横綱像。
~白鵬にかかる大記録の重み~
text by
服部祐兒Yuji Hattori
photograph byKYODO
posted2010/11/13 08:00
土俵入りする第35代横綱の双葉山。引退後は時津風を襲名、日本相撲協会理事長も務めた
横綱白鵬が、「相撲の神様」「昭和の角聖」と称される不世出の大横綱双葉山の69連勝を更新できるのか。九州場所は初日から、異様な雰囲気・例えようのない緊張感に包まれるに違いない。白鵬の相撲を、固唾をのんで見守る相撲ファンの気持ちは一体どうなのか。
双葉山が打ち立てた69連勝は昭和11年1月場所7日目から昭和14年1月場所3日目まで、年2場所制の中、足掛け4年にまたがる大記録である。日中戦争が泥沼化し、太平洋戦争が間近に迫る時局のことであり、当時は国民的娯楽として大相撲が親しまれていた。「双葉の前に双葉無し、双葉の後に双葉無し」の言葉が示すように、双葉山は国民的英雄だった。