日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
「強引さ」こそザックジャパンの旗印!
90分間ゴールを目指し続けた日韓戦。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/10/13 12:25
魂がぶつかり合ってこその、日韓戦である。
「テーハミング!」の大合唱が続き、韓国のチャンスとなれば地鳴りのような歓声が四方から巻き起こる完全アウェーのソウル・ワールドカップスタジアムで、そんな熱い戦いを久しぶりに味わうことができた。
無得点に終わったとはいえ、価値あるスコアレスドローだった。フィジカルではいまだ韓国に軍配が上がろうとも、ザックジャパンは“闘う姿勢”を90分間貫いた。ボールを取られたら取り返す。カウンターにはカウンター。ボール際の戦いで激しさを見せるライバルを相手に、腰を引くことなく応戦していた。
これもベスト16まで進んだ南アフリカW杯で得た自信なのだろうか。ボール際で負けようともボールを奪い返すために執拗に食らいつくようなシーンは、今年2度の敗戦(2月東アジア選手権1-3、5月親善試合0-2)でほとんど見られなかったものだ。
「個人が、特に前(のポジション)にいる選手なんかは自信を持ってプレーをしているし、相手にとって怖さがどんどんと出てきている」と、ゲームキャプテンを務めた長谷部誠も個々の成長を感じ取っているようだった。
チョ・グァンレ韓国代表監督が語る新生日本代表の印象。
高い位置でボールを奪い、速くゴールに向かう。
アルベルト・ザッケローニがチームに植え付けようとしている意識は、この試合からも十分に感じることができた。韓国のプレスをかわすために前半15分過ぎからはピッチをワイドに使い、早いタイミングでボールを縦に入れてきた。1トップに入った前田遼一のポストプレーから相手ゴールに迫るプレーが増え、カウンターになると前線の選手が一気にペナルティーエリアの中に入っていく。こうした積極的な姿勢が韓国の守備を押し返したのだった。
ホームである韓国のほうが守備的だったのは、縦に速い日本を警戒してのこと。韓国のチョ・グァンレ監督は日本に対する印象の変化をこのように口にしている。
「岡田監督のときよりも(日本は)ディフェンスのラインが上がって、相手陣内でフォアチェックしている。そのため攻撃への切り替えが速く、危険な場面をより多くつくることができるようになったと感じている。以前は攻撃に転じる際、余計なパスが多いという印象だったが、今の日本代表はすごく速い攻撃をするようになったという印象だ」