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ザックがアルゼンチンに仕掛けた罠。
“岡田ジャパン+α”で韓国にも勝つ! 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2010/10/12 12:00

ザックがアルゼンチンに仕掛けた罠。“岡田ジャパン+α”で韓国にも勝つ!<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

中央を固めてサイドに追い込んでボールを奪う!

 前線の守備だけでなく、ボランチと最終ラインの守備も意思統一されていた。

 センターバックに入って無失点に貢献した栗原勇蔵は、「とにかく中央を守るという意識を強く持った」と試合後に語っている。

 中央を固めて、サイドに追いこんで、そこでボールを奪いにいく。

 アルゼンチンの攻撃に対してパニックにならなかったのは、この点が徹底されていたからだ。ラインに並ぶ選手がそれぞれのポジションについて、ブロックをつくってからボールに向かうことも約束事の一つ。左サイドバックで相手の攻撃を封じた長友佑都は岡田ジャパンと比べてこう言っている。

「(プレスに)行くとき、行かないときがはっきりしている。相手の攻撃でサイドを変えられたとき、こっちが焦って(プレスに)行ってしまうと崩されてしまうということで、全体がずれて守備の陣形が整うまでは(プレスに)行かないとか、そのあたりを監督から言われていました」

岡田ジャパンの組織的守備を発展させた形が見えた時。

 記者席から見ていても、ブロックをつくったうえでプレスをかけるという順序を、W杯での岡田ジャパンよりも徹底させている感じがする。

 陣形が崩れてしまえばラインにギャップが生じてしまい、一度のミスが失点につながる。そのリスクを極力、排除するために陣形を崩さないことを第一としていた。固めている中央がサイドに引っ張り出されるシーンが少なかったことは、陣形が崩れなかった証明とも言える。

 南アフリカW杯での組織的な守備をベースにして、それを発展させていこうとするザッケローニの意図が見えたデビュー戦であった。

 この日のアルゼンチンが“本物”であったかと言えば、ウォーミングアップを短い時間で簡単に済ませるなど、日本をかなり見下している感じはあった。しかし、1992年の初顔合わせ以来、これまでずっとそんなアルゼンチンに勝てなかったのだ。相手のコンディション、モチベーションは抜きにして、7度目の対戦で初めてサッカー大国のアルゼンチンに勝ったことは素直に喜ぶべきであろう。

【次ページ】 岡田ジャパンからの漸進的改革を図るザッケローニ。

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アルベルト・ザッケローニ

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