オリンピックへの道BACK NUMBER
ロンドン五輪へ邁進するイギリス政府。
日本の民主党政権は何をしてる?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2010/10/11 08:02
北京五輪では振るわず、個人総合20位だったイギリスのダニエル・キーティン グス(写真左)。昨年の世界選手権では日本勢最年少で金メダルを獲得した内村航平に次ぐ銀メダルを獲得
今シーズンは夏季五輪の中間年である。ロンドン五輪まであと2年となったが、ひとつ、興味深い傾向が見える。各競技で、イギリスが成績を伸ばしていることだ。
例えば水泳。隔年で行なわれる欧州選手権が今年8月に行なわれたが、金メダル数は、'06年と'08年の2個に対し6個。メダル総数でも'08年の4個から19個に増やしている。
国際大会であまり活躍の見られなかった体操でも、やはり欧州選手権の団体で、男子、女子ともに'06、'08年とメダルなしに終わったのに対し、'10年は男女そろって銀メダル。他の競技でも、レベルの向上に注目が集まっている。
ロンドン五輪開催決定後、年間120億円もの強化費支出を決定。
理由はひとつ、開催国としての徹底した強化である。
ロンドン五輪開催が決定したのは'05年。すると政府は、新たに1年あたり約120億円の強化費の支出を決定。それによって、多くの競技団体では、海外からコーチの招聘、積極的に海外の強豪国へ出向いての合同合宿などの強化を打ち出してきた。先の体操では、毎月ナショナルチームが合宿を行なっていると報告されているし、今まで一度も出場したことのないバレー女子のナショナルチームを日本に派遣して合宿を行なうなど精力的に取り組んでいる。
積極的な強化策はすでに北京五輪で成果を結んでいた。
また、トップアスリートの強化を担うイギリスの組織「UKスポーツ」は、各競技団体ごとの目標とその達成度をチェック。強化費の配分もそれに応じて行なうシビアな体制を取ってきた。
その成果は、実は北京五輪ですでに表れ始めていた。'04年のアテネ五輪で金メダルは9個だったのに、19個と大幅に伸ばしたのである。
振り返ってみれば、開催国が躍進することは、最近のオリンピックでは顕著な傾向だ。'08年の北京五輪では中国がアテネの金メダル32個から51個に伸ばして初めて1位となったし、'10年のバンクーバー五輪でも、カナダが'06年のトリノの7個から史上最多の14個に倍増し、やはり1位となった。両国とも、やはり強化予算を大幅に増やし、それをもとにした強化策が功を奏したと言える。
それを考えてみても、2年後にイギリスの選手たちが過去にないほど活躍すると予想せざるを得ない。