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ホンダのF1担当社員に聞いてみた、
F1撤退・復帰に関する本当の気持ち。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byAP/AFLO

posted2013/06/27 10:30

ホンダのF1担当社員に聞いてみた、F1撤退・復帰に関する本当の気持ち。<Number Web> photograph by AP/AFLO

マクラーレンホンダの全盛期、アイルトン・セナが乗りこなした名車MP4/4。1988年シーズンに活躍したこのマシンは、年間全16レース中で15勝している。

レギュレーション変更が復帰の引き金に。

 その悔しさが、新しいエネルギーとなっていったと新井は語る。

「撤退した後も、ずっとエンジニアたちはF1をやりたいという気持ちでいました。そんなとき、F1のレギュレーションが変わり、世間が注目している環境技術を取り入れたエンジンを採用することになったのは、われわれ技術者としてはチャレンジしがいがありますし、とてもいいタイミングでした。いまここでやらなくてどうするんだ、と」

 そして、伊東孝紳社長が決断したというのだ。

第三期の停滞理由。悪しき企業文化は払拭できるか?

 2つ目の疑問は、復帰は社長の意思か、研究所の総意かである。

 というのも、第三期のホンダが停滞した理由のひとつに、研究所が積極的に関わっていなかったからではなかったかという思いが、私の中にはいまも残っているためだ。

 ホンダとともにF1で仕事をしていた、あるF1関係者はこう嘆く。「ホンダの人は日本からグランプリにやって来たと思ったら、その後、ファクトリーに寄らずにゴルフをして日本へ帰ってしまう」と。

 これはホンダに限らず、F1に参戦していた日本企業の出張スタッフに、しばしば見られる悪しき慣例でもある。別にゴルフをすることが悪いのではない。問題は当事者意識の欠落であり、それによって現地のスタッフと意識を共有できないことである。

 人事異動によってF1のスタッフになった者はたとえF1で成績が残せなくても、社員として日本に帰ることができるという待遇にあり、成績次第で簡単にクビにもなる現地採用のエンジニアやメカニックたちとの間には、格差が存在する。ただでさえ温度差が生まれやすい状況にもかかわらず、ファクトリーにも寄らずにゴルフをしていたのでは、溝は深まる一方。第三期の敗因はチーム運営にも手を出したこと、BARと組んだことも大きな理由だが、携わっていたホンダのスタッフの中に、命令されてF1をやっていた者がいたことも一因だったのではないか。

【次ページ】 第四期の成否の鍵──復帰を望んだ研究者たちの声。

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