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小倉新会長の「Jリーグ秋春制」議論。
決定的に欠けているものとは何か? 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byMasahiro Ura

posted2010/08/30 10:30

小倉新会長の「Jリーグ秋春制」議論。決定的に欠けているものとは何か?<Number Web> photograph by Masahiro Ura

FC東京の試合に訪れた「秋春制」を支持する小倉新会長(右)。選手としての経験がない異色の存在

秋春制の導入コストは初期投資だけでも約1億円。

 2つ目は、コストの概算が見えてこないことだ。

 仮に雪が予想される時期にサッカーをするなら、次の2つの設備が必要になる。

  (1)スタジアムの芝暖房
  (2)練習場の芝暖房

 ブンデスリーガは1部と2部すべてのクラブに、上の2つの設備を備えることを義務付けている。

 また、冬は日照時間が少ないため、どうしても芝の状態が悪くなりやすく、張替えが必要になってくる。そこで、

  (3)芝の張替え

 というコストも見積もりに入れておくべきだ。

 ドイツの場合、(1)と(2)は、約2000万~4000万円。(3)は1回の張替えで、約4000万円かかる。大雑把な計算になるが、シーズンを移行する場合、初期投資として1チームあたり1億円はかかると思っておいた方がいいだろう。

 もし日本サッカー協会とJリーグが協力して、「年間の積雪量がある一定以上の地域」にあるクラブに、初期投資として1億円、ランニングコストとして年間4000万円を提供するとなれば、東北地方や北信越のクラブにも聞く耳を持ってもらえるのではないだろうか。

秋春制を実施するならウィンターブレイクの設定が必要だ。

 冷静に考えれば、日本と欧州の一部の国では、それほど「サッカーをしている時期」に違いはない。

 たとえば、昨季のスイスリーグは、7月中旬に開幕し、12月上旬から約2カ月のウィンターブレイクをはさんで、2月上旬に再開して5月に終了した。

 7月~12月、2月~5月に行なわれたということだ。

 一方Jリーグは、W杯予選など代表の活動のために6月にリーグが中断されることが多く、開催時期は3月~5月、7月~12月に分けられる。

 スイスと日本を日付順に並べて書いてみると、

  スイス:2月~5月、7月~12月
  日本:3月~5月、7月~12月

 とほぼ同時期に行なわれていることがわかる。

 2月に4試合するとしても、ホーム&アウェーの方式なので、豪雪地帯のクラブのホームで試合をするのは、そのうち2回。最悪の場合、この2試合が雪のために延期になってしまうが、それを計画に組み込み、まずは練習場のピッチに芝暖房を4000万円で導入してトレーニング環境を整えれば、すぐにでも秋春制に移行することは可能だろう。

 とにかく、今行なわれている「秋春制」の議論の問題点は、日程や移行する際のコストに関して具体性が乏しいことだ。

 個人的には、上のようにウィンターブレイクを設けるなら、秋春制への移行は可能だと考えている。「春秋」、「秋春」、「夏春」、「夏冬・冬春」のどれを採用するにしても、より細かい議論をしていくべきではないだろうか。

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#小倉純二

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