野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
新装開店・横浜スタジアムで
ベイスターズは変わるのか!?
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/04/09 10:30
3月13日に開催された平日デーゲームでのオープン戦が本拠地初試合。全面液晶のスコアボードにはイラストなど様々な映像が流れる。一、三塁側のファールゾーンには新たにエキサイティングシートが設けられた。
年間1000万円也のVIPルームも即完売の好景気。
狭かった通路も拡張され、飲食コーナーが充実したほか、試合映像を流すモニターも増設。本拠地開幕戦でもちょっと目を離した隙に6-3が6-9に逆転されるベイスターズだけに、わずかの時間でも試合を見逃さない配慮があるのは有難い。あとはずっと要望のあったトイレが全面改修されたことも嬉しい。ここでもリクシルとは縁がなかったようだが。
グラウンドで一番わかりやすい変化は全面デジタル化し映像の演出自由度が増した高画質スコアボードと、バックネット裏上部のサブスコアボード。加えて席種も1、3塁側のファールゾーンにエキサイティングシート、スタンドに3~5人用のボックスシートやら、2人用、3人用のツイン・トリプルシートが新設。バックネット裏の特等席にあった記者室はVIPルーム『YOKOHAMA BAY LOUNGE』に生まれ変わり、年間1000万円という契約は5室中4室が即売り切れ。残り1室はイベントなどに使用されるという。ちなみに選手ロッカーも全面改装を行い、MLBチックな空間に再生。床にはドデカいチームロゴを配置し、ロッカーからグラウンドまでホームスタジアムの雰囲気と“一軍のステイタスを感じられるような”誇りを感じられる演出をしているとか。
戦う環境は整った……足りないのはチームの勝利だけ!
今回の横浜スタジアムの大規模な改修工事。正直、他チームの本拠地球場のサービス・設備等を考えれば、これまで何もしてこなかっただけじゃないかという思いも湧くが、それでも、やっと変わろうと動き出したのである。この実感は、ここ数年、いや、もしかしたら何十年単位で“下方現状維持”を是としてきた、この球団の古くからの体質を考えれば、もの凄く貴重かつ期待感が持てるように思えてくる。
「まだまだはじまったばかりですからね。我々は、ファンの皆様にいつも期待され続けるような場所や球団、そしてチーム作りをしなくてはいけないと思っています。そのためには、この『コミュニティボールパーク化構想』も現在進行形ですから、来年、再来年とどんどん進化していく予定です。横浜スタジアムは立地も最高ですし、屋外球場の良さを満喫できる環境が整っています。あとは、チームが勝ってくれれば最高ですね」(楠本さん)
このリニューアルの目的でもある地域のランドマークという理念も、いくら球場というハードができても心臓部であるべきベイスターズがボロボロのままなら意味を為さない。
そんなことも含めて、今年は「なんとなく変わった! 最下位だけど!」では許されない、何が何でも目に見えて“変わった”という結果を得なければならない。
ここまではいい感じで来ている。今シーズン、雨で流れた本拠地開幕戦のチケットはほぼ完売。ファンクラブの会員数は前年比で約2倍の伸び率を誇るなど、ベイスターズに対する期待値は高まっている向きがある。また連敗を喫した本拠地開幕戦シリーズも、ベンチ、スタンド共に物凄い熱気を感じられた。
選手たちはがむしゃらになろうとしているし、ボロはあるがなんとなく結果も出ている。あとは、多くの選手が常々口にしている、「負けが込んだ時にやってくる“また今年もダメか”の襲来」をどう振り払うか、だろう。
長いシーズン、負けが込んだ時、どうしても波に乗れない時もあるだろう。そんな時、きっと横浜スタジアムというホームグラウンドが何かしらの後押しをしてくれるに違いない。
少なくとも今年のハマスタをはじめ、横浜中には「勝」の文字と、どうかしちゃったようなあの気合の顔写真ポスターが溢れているのだ。あれを見れば、どんな忘れっぽい選手とて今のガムシャラな気持ちを思い出すだろうし。